【海外センターレポート・ブラジル】高等機関におけるコロナウイルスへの影響について

 
 2月末にブラジルにおけるコロナウイルスの最初の感染者がサンパウロ市内の病院で確認されてから、日に日に感染が拡大しています。政府は感染防止策を実施し、ブラジル全土が「共同体感染状態」にあることが宣言されてからは、感染拡大を抑制するための、より強い制限措置を採り始めました。

 
 これに伴い3月23日以降、サンパウロ州では公立大学、私立大学を含む学校が閉鎖され、授業が停止されていることから、教員側も学生側も、通信教育という新たな現実に適応する必要に迫られています。3月24日にはサンパウロ州では「自宅隔離」措置が適用され、現時点では4月7日までとされています。

 
 サンパウロ大学(USP)学部長執務室は、USP情報技術監督部の支援を得て、通信教育の2つのプラットフォームを設置しました。このシステムではクラスの管理、オンラインでの評価、ビデオ授業の公開が行われています。この通信教育プラットフォームは、USP教育開発プログラムの開発の一環として既に実施されていましたが、この非常事態においては、学術活動の継続のために必然的なものとなっています。 
 
 USPではこの措置のほか、学術研究の重要性、ラボと病院施設の提供による支援の可能性を考慮し、USP医学部臨床病院(2020年1月の報告書をご参照のこと) をサンパウロにおけるコロナウイルス患者治療のための臨床リファレンスセンターとしました。 *1) このセンターは、国内三大大学であるUSP、UNESP(州立ジュリオ・デ・メスキッタ・フィーリョ大学)、UNICAMP(州立カンピーナス大学)の専門家を集結し、コロナウイルス感染予防、感染患者の治療に当たる知識・技術を備えた医療従事者を育成するという社会へのコミットメントを強調しました。 *2)

 
 採られる全ての措置・対策が感染の抑制、感染患者の治療に寄与し、ブラジル社会がいま見舞われている困難な状況、この先降りかかってくる困難(高い失業率や社会的混乱)の克服のための一助となることが望まれます。
 


<参考リンク>
1) saopaulo.sp.gov.br: Governo de SP cria centro de tratamento do coronavírus no Hospital das Clínicas

2) JORNAL DA USP:   Cruesp reitera compromisso das universidades no combate à covid-19

地域 中南米
ブラジル
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育