【ニュース・アメリカ】過去30年間のNSF 助成受給研究、政治性と同質性が高くなる傾向

 

党派心・イデオロギー研究センター(CSPI)は、1990年~2020年の30年間に亘る米国科学財団(NSF)の科学助成付与状況を分析した報告書「科学助成における政治性と同質性の増大:NSF 助成の分析、1990年~2020年」を11月16日に発表した。本報告書は、自然言語処理を使用して、 7つのNSFの局において、1990年~2020年に NSF 助成を受給した研究論文の要約を分析した結果をまとめたものである。

  1. 生物科学
  2. コンピュータ・情報科学工学
  3. 教育・人事
  4. 工学
  5. 地球科学
  6. 数理・物理科学
  7. 社会・行動・経済科学

主な結果は以下の通り。

  • 政治性の高い表現を含む文書が現れる頻度は、過去30年間を通して着実に増加し、2020年の助成受給研究の30.4%は、論文の要約に政治性のある「公平性」「多様性」「包括性」「ジェンダー」「過小評価された」「少数派の」「格差」などの用語が含まれ、1990年の2.9%から増加。
  • 助成受給論文の要約に政治性の高い表現が含まれる割合の高い局は教育・人事局で、2020年の助成受給研究論文要約に上記用語が含まれる割合は53.8%(1990年は4.3%)。一方、最も低い研究局は数理・物理科学局の22.6%(1990年は0.9%)及びコンピュータ・情報科学工学局の24.9%(1990年は1.5%)など。
  • 大半の局において、助成受給研究の論文要約の内容が時間の経過とともに類似化して多様性が縮小。この傾向は、特に過去数年間で顕著。
  • 近年の米国における科学助成は政治問題化する傾向あり。また、アイデアの多様性が縮小され、研究の質の低下及び一般国民から科学研究機関に対する信頼性低下の可能性あり。

 
11月16日


Center for the Study of Partisanship and Ideology: 
Increasing Politicization and Homogeneity in Scientific Funding: An Analysis of NSF Grants, 1990-2020


地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
研究支援 研究助成・ファンディング