2018年1月9日、大学議長委員会(CUC:Committee of University Chairs)は、大学に対する公的な大学職員の給与の決定過程を透明化する必要があり、適切なガバナンスが設けられていることを確かなものとすべきとして、大学の上級職の給与に関する規則の草案を作成したことを発表した。
CUCは本規則案について2018年3月12日まで公式な意見募集を行うとしている。(注:同規則は2018年6月6日に公表され、それに伴い意見募集のページは削除されたため、以下のリンクは規則の公開ページへのものとなる)
CUC:HE Senior Staff Remuneration Code(規則のPDFファイルあり)
【各メディア、関係機関の反応】
○BBC News
自主的な規則案がCUCによって書き上げられた。しかし、新しくできた学生局(OfS:Office for Students)の最高責任者であるNicola Dandrige氏は、提案は“不十分である”とした。彼女はまた“人々は当然ながら給与水準を懸念しているのであって”、給与が決められる“過程”だけではないと述べている。
昨年には、“特権階級の金持ち”への給料だという非難や、一部大学の指導者は過剰な給与を受けていて手付かずになっているという主張があり、大学の学長の報酬に集中的な調査が行われた。
先月(注:2017年12月)に行なわれたJo Johnson前大学・科学担当大臣との会合後、各大学長は新しい給与のガイドラインの作成に合意していた。また同大臣は、(高額な給与に対して)抑制を呼びかけ、新しい規制機関であるOfSによる介入に言及して圧力を掛けていた。
BBC News:University bosses face curbs under fair-pay rules[2018年1月10日付]
○ガーディアン紙(The Guardian)
大学教職員の利益を代表する大学組合(UCU:University and College Union)は毎年、大学学長の給与を調査して公表しているが、CUCの新しい規則案を切り捨てた。同組合のSally Hunt書記長は
“大学の上級職の給与や特権の問題について真剣に取り組みたいのであれば、それを見るために学長と近しい関係にはない機関がやるべきである。”
“CUCは先月、多くの大学学長に不等に高額な給与が支払われているという証拠は見られなかったと述べている。何年も前から大臣たちは大学学長の給与の著しい上昇に関して調査するよう呼びかけてきていて、我々はどれだけ多くの人間が自分の給与を決定する給与委員会に席を置いているのかということを強調してきた。”
と述べた。
また、新しい大学規制機関、OfSの最高責任者であるNicola Dandridge 氏は、ガイドラインを歓迎しながらも、それは不十分だと述べている。
“我々もまた、正当な給与を定めるという高等教育機関側のリーダーシップを必要としている。人々は当然ながら給与の水準を懸念しており決定過程だけが心配なのではない。”
“提案されたCUCの規則の精神に基づき教育界が行動し、この過剰な給与の問題そのものに取り組むことを非常に望んでいる。しかし、不当な給与水準に直面した場合、OfSは介入をためらわない”
と述べた。
The Guardian:Universities will have to justify excessive senior pay under new rules[2018年1月9日付]
○英国大学協会(UUK:Universities UK)/広報担当者のコメント
UUK:Committee of University Chairs consultation on senior staff pay[2018年1月9日付]
○ラッセルグループ(Russell Group)/Alistair Jarvis会長
Russell Group:Higher Education Remuneration Code[2018年1月10日付]
※ラッセルグループは、英国国内で最高水準の研究レベルを持つ24大学で構成される団体。