2017年11月11日、独立系シンクタンクの高等教育政策研究所(HEPI:Higher Education Policy Institute)とKaplan International Pathway(注:米国に本拠を置く国際的な教育企業Kaplanの系列事業者)は、共同研究成果「国会の選挙区ごとの留学生の費用と利益」を発表した。分析はロンドンエコノミックス(注:政策や経済のコンサルタント)が行った。
これまでの研究と異なり、この研究では毎年新しく訪れる231,000人の留学生の利益だけでなく、費用についても詳細な分析を行っている。
例として:
- 留学生の学費やその他の支出、経済的波及効果を含む総利益は226億ポンド
- 上記の総利益は、EU圏からの留学生の平均で一人あたり87,000ポンド、非EU圏からの留学生の平均で一人あたり102,000ポンドである
- 留学生の受入れにかかる公的費用-教育、保健、社会保障などの総額は23億ポンド
- 上記の公的費用はEU圏からの留学生の平均で一人あたり19,000ポンド、非EU圏からの留学生の平均で一人あたり7,000ポンド
- 留学生受け入れの純益(利益から費用を引いたもの)-総額203億ポンド
- 上記の純益はEU圏からの留学生の平均で一人あたり68,000ポンド、非EU圏からの留学生の平均で一人あたり95,000ポンド
HEPI:New study shows the benefits of international students are ten times greater than the costs – and are worth £310 per UK resident
【メディアの反応】
○The Independent
留学生の恩恵を最も受けている20選挙区のうち、19選挙区が労働党の議席である。
The Independent:Benefits of international students to UK are ’10 times greater than costs’, shows study[2018年1月11日付]
○BBC News
“留学生が少なくなるということは英国全土での雇用も少なくなることを意味する。なぜなら留学生は大学でお金を使い、そして地域経済にもお金を落としているからだ。”
“それは文字どおりサンドウィッチ屋、自転車屋、タクシー会社や、ナイトクラブや書店だったりする。”
“留学生がいなくては、一部の地域企業は破産に追い込まれる可能性がある。一部の地域住民は失業するだろう。”
と語った。
また、HEPIは、英国には世界レベルの大学が多く存在するが、“同時に世界でも最も学生に敵意を持った政府がある。”というインドのHindustan Times紙の記事を引用した。HEPIは政府に対して、実質的な移住者数を減少させることについての幅広い議論から留学生を外すようにと訴えている。
もっとも留学生から利益を受けている選挙区トップ10
- Sheffield Central
- Newcastle upon Tyne
- Nottingham South
- Oxford East
- Manchester Central
- Holborn and St Pancras
- Liverpool, Riverside
- Cambridge
- East Ham
- Birmingham, Ladywood
1ポンド≒149円(2017年11月10日)