【海外センターレポート・ブラジル】ブラジルにおける予防接種について

 
今年5月初めの時点で、新型コロナウイルスワクチンの世界接種率ランキングでブラジルは58位となっており、CNN の報道によればブラジルでは
人口100人当たりの接種回数は23.95回
にとどまっています。累計接種回数でみるとブラジルは世界第4位で、中国、アメリカに続き5070万回
となっています。 参照リンク1:cnnbrasil

 
高齢者と慢性疾患のある成人への優先接種に対する批判が相次ぐ中で、サンパウロ州をはじめとする複数の州では、警備、教育に従事する人
を新たに優先接種対象とすることを決定しました。これにより、サンパウロ州だけで、初等教育課程の学校に勤務する47歳以上の人(校長、
教員、事務員、用務員、清掃員、給食調理員等を含む)への35万のワクチンが用意されました。大学教員は未だ優先接種対象となっておらず、
大学での対面講義は停止されたままです。

 
現在ブラジルでは、英オックスフォード/アストラゼネカ、CoronaVac、米ファイザー/ビオンテックの3種のワクチンが用いられています。
英オックスフォード/アストラゼネカ共同開発のワクチンはオズワルド・クルス財団、CoronaVac はブタンタン研究所で国内生産されていますが、
ファイザーとビオンテックの共同開発ワクチンは100%輸入されています。 参照リンク2:globocom

 
現在サンパウロ大学(USP)では、様々な技術を用いた7種(点鼻スプレー型、ナノ粒子ベース、ウイルスベクターワクチン、スビユニット
ワクチン、ナノワクチン、DNワクチン、RNAワクチン)のワクチン開発プロジェクトが進められています。

 
進行状況はプロジェクト毎に異なりますが、最も開発が進んでいるのは、サンパウロ大学医学病院心臓研究所(FMUSP-INCOR)免疫学実験室による
点鼻スプレー型ワクチン、サンパウロ大学リベイロン・プレット医学校によるナノ粒子ベースワクチン
です。いずれも、まもなく治験が開始される見込み
です。

 

ワクチン接種の加速やワクチンの国内生産に向けた努力の甲斐なく、ブラジルでは、連日1000人を超える人が新型コロナウイルスにより
亡くなっています。死者数は昨年からの累計で42万3436人、感染者数は1500万人以上に上っています。 参照リンク3:globocom

 

対策の採り方によっては、感染者数、死者数ともにここまで増加しなかった可能性はありますが、ワクチンの集団接種が進むことによる状況
の改善が期待されます。ブタンタン研究所の調査によれば、成人人口98%が接種を受けたサンパウロ州セラーナ市では感染者数が66%減少し、
感染者の大半において症状が軽度
となっているほか、入院者数、死者数も減少したことが分かっています。 参照リンク4:noticias.r7.com

 


地域 中南米
ブラジル
取組レベル 政府レベルでの取組
その他 その他
統計、データ 統計・データ
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