2012年に、連邦大学と連邦の中等教育レベルの専門学校の学生の定員の50%を、公立学校出身の学生に、さらにその50%を低所得家庭出身の学生に割当て、黒人、褐色、インディオと自己申告する学生に特別入学枠を設置することを定めた法律が裁可されました。この法律の特別入学枠対象者に、新たに障がい者を加える上院法案(PLS)第46/2015号が提出され、2015年9月に上院で、2016年12月に下院で可決され、法律第13409/2016号として大統領裁可されました。
裁可から約2年が経った現在、その法律の効果が各連邦大学や専門学校で徐々に現れてきています。例えば、セアラ連邦大学(UFC)では、この特別枠を利用して入学した障がい者学生が、少なくとも212人入学しました。(※1) UFCのアクセシビリティー担当局によれば、この数字は、過去数年間の数字の2倍であるとのことです。(※2)
統合教育を研究する、UFC教育学部の教授は、「10年、15年ほど前は、障がい者の大学進学の問題など誰も議論していなかったことを考えると、わずかながらも、進歩であることに変わりはない。今後も、継続して取り組んでいくべき課題」とコメントしています。(※3)
ブラジル地理統計院(IBGE)の最新の国勢調査によれば、ブラジルには、何らかの障がいを持った人が4,560万人います。(※4) 教育省の最新の調査結果によれば、大学に進学する障がい者の数が年々増えており、(※5) 2011年から2006年までの間に、大学に入学した障がい者の学生の数は、全国で5,540人から13,270人と約5倍に増えました。2006年の教育省のデータによれば、障がい者の学生数は私立大学で6,410人、公立大学で2,380人でした。(※6)
ブラジルにおいて障がい者が高等教育を受ける機会は確実に増えており、このことは、ブラジルにおける社会的包摂のプロセスにおける、重要な進歩と位置付けられるでしょう。連邦憲法第206条I号では教育の機会の均等を定めており、その規定を現実化するという観点からも、非常に喜ばしい傾向であると言えます。
サンパウロ海外アドバイザー 二宮 正人
※1 セアラ連邦大学(UFC)(2018年5月18日閲覧)
※2 オ・グローボ(O Globo)紙オンライン記事(2018年5月18日閲覧)
※3 ジアリオ・ド・ノルデステ(Diario do Nordeste)紙(2018年5月18日閲覧)
※4 ブラジル地理統計院(IBGE)サイト(2018年5月18日閲覧)
※5 教育省(MEC)サイト(2018年5月18日閲覧)
※6 ニュースサイト「Correio 24 Horas」(2018年5月18日閲覧)
【海外センターレポート・ブラジル】ブラジルにおいて大学に進学する障がい者が増加
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