【海外センターレポート・ブラジル】補足的予算の削減について

 
10月初め、経済省は、国家科学・技術開発基金(FNDCT)関連の予算を科学技術以外の連邦管轄の分野に割り当てることを禁じる補足法
第177/2021号の規定に反し、科学・技術・イノベーション分野の補足的予算を削減しました。 ★1

 
科学・技術・イノベーション省(MCTI)に配分される見込みであった6億9000万レアルのうち、実際に同省に配分されたのは8980万レアル、
すなわち約13%相当にとどまり、国の学術研究、科学の発展が大きく損なわれるとして、学界関係者から次々と抗議の声が上がりました。

 
多くの団体・機関がこの削減への抗議を表明し、ブラジルの科学技術の進歩とそれによる社会の発展の重要性を訴える声へと変わりました。
国家科学技術開発審議会(CNPq)が助成する調査研究の公募「Chamada Universal do CNPq」は、予算不足のため2018年を最後に行われて
いませんでしたが、最新の公募が今年8月末に発表され、この補足的予算を助成金に充てるとされました。また、補足的予算の別の一部は、
国家核エネルギー委員会(CNEN)による癌治療用の放射性医薬品と放射性同位元素製造に割り当てられていました。

 
8980万レアルのほぼ全額が CNEN に配分され、わずか720万レアルが、研究と科学の発展のための予算として MCTI に配分されることとなります。
従って、この大幅な予算削減は学術研究の振興に著しい悪影響を及ぼし、Chamada Universal の一部が、大幅に削減された予算で実施される
にとどまります。

 
この削減の合憲性、法的正当性が問われるなか、現在に至るまでこの措置は見直されていません。経済省は、削減された予算の一部を教育、奨学金
給付、飲用水の供給、住居手当、農牧業向け給水インフラ整備工事に用いると説明しています。
 


★1 JORNAL DA USP: Governo federal corta 87% dos recursos do FNDCT que seriam liberados para a ciência


地域 中南米
ブラジル
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政
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