【ニュース・中国】大学院生の募集拡大は大卒生就職難の緩和剤となるか(1)

 
最近のニュースの報道によると、2019年における国内の高等職業学校の学生募集定員は116万人に達し、当初予定されていた目標を超えて完了した。
今年の募集拡大に向けた活動の進捗も比較的順調で、中国はすでに世界最大規模の職業教育システムを作り上げている。2020年の政府活動報告書には、2020年から2年間で、継続して200万人まで募集を拡大することが再度掲げられた。

 
高等職業学校において「大々的な募集拡大」が図られるだけでなく、中国の大学院生および大学の専科から学部への編入生の募集も大幅に拡充されている。
教育部がこれまでに発表したデータによると、2020年の修士課程大学院生の募集規模は、前年から18万 9,000人増して100万人に達した。
一般的な大学の専科から学部への編入生の規模も、前年比32万2,000人増となった。

 
2020年9月に発表された「新時代の大学院生教育の改革発展を加速することに関する意見」によると、博士課程の大学院生の募集規模は以前の状況を
適度に超え、修士課程の大学院生の募集規模は着実に拡大
している。

 
高等職業学校の学生、専科から学部への編入生、修士課程の大学院生、博士課程の大学院生はいずれも募集を拡大している途中であり、現在就職と
進学という関門に直面している高校卒業生、高等職業学校卒業生、および学部卒業生、修士課程修了生にとっては、間違いなく有利である。
 
これは進学の機会が増えることで、進学を通じて目下の就職の難題を緩和することができ、また、自らの学歴のレベルをも上げることができ、将来さらに
質の高い就職を実現できる
ことを意味している。

 
しかし、この政策はいくつかの議論を引き起こした。募集拡大によって高等教育機関の卒業生の就職難を緩和することは、教育を就職の「貯水池」とする
ことになり、募集を拡大した後、人材育成の質を保証できないのであれば、このようなやり方は単に就職への負担を一時的に遅らせるだけでしかない。同時に、高等教育の構造と人材育成や社会的な需要が逸脱する結果として、「学歴の高い消費」、「学歴価値の低下」、「教育の無駄」が生み出される。

 
議論を分析すると、人々が賛同するのは高等教育が適度に拡大されることであり、単純に就職難を緩和するために募集を広げることは支持されて
いない。募集の拡充は、各大学の自らの学校運営の位置づけ、条件に基づく必要がある。また、教育の質の保障と学校運営における特色の堅持に
基づいて論証されなければならず、募集の拡大が必要であるのか、拡大する規模をどの程度とするべきか決めなければならない。

 
見切り発車で、学校運営の質と特色を顧みず、やみくもに募集を拡大してはならない。大学が認めるかどうかに関わらず、学生募集の規模が増加するにつれて、募集の条件も緩くなり、そうなると大学は必ず「寛進厳出」の学生募集育成モデルを推進しなければならなくなる。もし学生募集の条件が緩くなった後、教育の質の水準を維持できなければ、結果として、事実上、学歴価値の低下を招くことになる。
 
2020/12/11
 


光明日报: 研究生扩招能否缓解毕业生就业难

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