【ニュース・中国】大学院生の募集拡大は大卒生就職難の緩和剤となるか(2)

 
これからの数年間、中国の大学院生教育は新たな募集拡大期に入ろうとしていることを示す多くの兆候が表れている。中国の大学院在校生の規模は
すでに300万人に達しているが、一部の研究者は、中国の千人あたりの大学院生数はちょうど2を上回ったところであり、先進国の7または8の水準
を遥かに下回ると指摘している。

 
千人あたりの大学院生数を4まで高めるとするなら、中国の大学院在校生の規模は560万人に達し、毎年の学生募集の規模は180万~190万人と
なるが、今はわずか100万人であり、比較的大きな募集拡大・発展の余地がある。

 
一方で、ここ数年、一部の大学の学部が大きく成長するにつれて、これらの大学も修士課程、博士課程を申請するようになり、大学院生教育の
発展を求める声が大きくなっている。さらに、2020年の大学院受験者数は341万人に達し、2021年の大学院受験者数は400万人を突破する
見込みである。需要と供給の双方から、大学院生の募集拡大に対する新たな要望が呈示されている。

 
また、募集拡大は算数の問題ではなく、必ず教育全体の向上と社会発展に対する影響を考慮しなければならない。募集拡大に伴い、特に大学院生
の募集を広げることによって、中国の教育全体の学歴指向がさらに刺激され、多くの学生が学歴向上を目的として学業発展の計画を進めるようになること
に疑いの余地は無い。同じような問題は職業教育学校にも現れるかもしれない。

 
本来であれば中等職業学校、高等職業学校は就職指向の学校運営を行い、学生の就業技能を育成すべきところであるが、これらの学校は募集の拡張を
背景として、就職指向を堅持せず、学歴指向をもって学校の運営
を行い、「中等職業学校卒業後は高等職業学校へ進学し、高等職業学校を卒業した後
は学部へ進学する」という教育制度を形成する可能性が高い。

 
そのため、適度な募集拡大を行うとともに、教育の法則を堅持し、教育の質を保証する必要がある。「新時代における大学院生教育改革発展の加速に
関する意見」は、サービスのニーズに応じて、人材育成規模を合理的に拡大する必要があると指摘している。需要と供給を一致させ、量と質を
統一することを継続して目指し、経済・社会の発展に適応し、教育能力に見合った大学院生教育の発展リズムを維持する。

 
教育の質は教育の発展にとっての生命線であり、質を保ちつつ教育規模の拡大を保障してこそ、現実の教育問題、社会問題を解決することができ、
募集の拡大によって生じうる問題を避けることができる。

 
2020/12/11
 


光明日报: 研究生扩招能否缓解毕业生就业难

地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 質の保証、教育
人材育成 入試・学生募集