就職活動において、企業側が「第一学歴 」における学校歴を重視し、「985工程」「211工程」「双一流」等の政府の重点支援プログラムに採択された
機関の卒業生を優遇するという現象が生じている。
採用コストと人材選びのバランスを考慮した学校歴の選好
採用時に「第一学歴」の学校歴が重視される背景には「人材募集に係る時間や労力の削減」を意識した企業側の姿勢がある。「985工程」等に採択された大学
を第一学歴とする卒業生は、「 高考 」による選抜を受けた優秀な人材であり、将来的に企業の中核となる人材に育つ可能性が高いと認識されている。
そのため、政府のプログラムに採択されていない、いわゆる「普通校」に在籍する優秀な人材を逃してしまうリスクと比べても、学校歴を重視した採用に
よってもたらされる効率化・省力化のメリットの方が大きいと感じる雇用者が多いのである。
選考のプロセスにおいて、応募者が同程度の「第二学歴 」で並んだ場合に第一学歴を採用基準とする場合が一般的であり、第一学歴のみで採否
を決定しているケースは少ない。
一方で、高等教育機関における教員募集に見られるように、第一学歴を重視することを明言している例も確かに存在している。こうした背景には、
卒業生の高学歴化に対して、就職先のポストが十分に確保されていないという労働市場の不均衡が存在している。
学歴・学校歴選好の拡大
第一学歴における学校歴は、学生が就職した後にも大きな影響を及ぼしており、初任給や昇給ペース、昇進の機会においても、学校歴に基づく
優遇が存在している。こうした学校歴に基づく差は、下記のように、いくつかの問題を生じさせている。
(1)重点校以外の高等教育機関を卒業した学生の就職難を加速させ、「普通校」の優秀な人材が労働市場から排除されてしまう。
(2)学校歴の差が高等教育機関の分断を増幅させ、大学の階層化や高考における競争の激化をもたらす。
(3)組織内の平等な競争原理が損なわれ、被雇用者に対する非科学的な判断を助長させる。
(4)高学歴化に伴い、本来は高い学歴・学校歴が必要でないポストにおいてもこうした要素が採用基準に設けられることで、「学歴の無駄遣い」
が生じる。
政府は、過度に学歴・学校歴を重視する流れに歯止めをかけようと試みているものの、未だ具体的な政策や規制は整備されていない状況にある。
光明日报 2021/01/19