【海外センターレポート・ブラジル】高等教育の学術成果について

 
2021年2月最終週に、高等教育機関の学術成果に関する議論を主な目的としたイベント「IV Fórum Métricas – Diálogos com a Sociedade
がオンラインで開催されました。 ★1
 

このイベントは、サンパウロ州立大学学長評議会(Cruesp)、サンパウロ州経済開発局の協賛を得てサンパウロ州学術研究支援財団(Fapesp)
が実施する「学術成果評価及び国際比較プロジェクト」のイニシアティブで提案され、既存の指標の再評価、新たな指標の構築のためのパートナー
シップの模索が目指されました。

 
このプロジェクトにはサンパウロ大学(USP)、カンピーナス州立大学(Unicamp)、パウリスタ州立大学(Unesp)の研究者が参加し、国内外の
大学間の比較のための大学ランキングと調査指標の活用について議論することを目的としています。プロジェクト実行のため、3大学の本部間で発足
した研究グループが議論を重ねた結果、学術成果の評価に関する変更が行われるに至りました。 ★2

 
まずは、大学のグローバルランキングの利用とその影響、結果の評価が行われ、大学が自らの社会への発信の在り方を見直し、国外の大学との比較において
より良い選択を促すためのベンチマークの構想が検討
されました。その結果は、「Repensar a Universidade: Desempenho Acadêmico e Comparações Internacionais」という本にまとめられています。

 
次に、プロジェクトでは地域の需要、特に既存の大学ランキングの評価指標には含まれていない大学の側面を反映した指標の創設に向けた取り組み
が行われました。それには大衆の知見、特に地元コミュニティへの大学の働きかけが考慮され、その結果は、書籍「Repensar a Universidade II: Impactos para a Sociedade」で発表されました。
 
このプロジェクトは3大学に大きな影響をもたらし、大学間の提携関係が深まったとの評価がなされています。アカデミックデータ収集の試みで
高等教育の監視機関のデータ・指標管理の改善、より良いインターフェースが可能となり、共同の学びが実現しました。また、この大学間の協議
において、例えば欧州連合のそれのような、共通データベースとなりうる協調データの構築も発案されました。

 
さらに、指標の戦略的活用は大学の調査方針や国際化に関する意思決定に影響を及ぼし、プロジェクトは一州の規模を超える全国的な議論に発展
しました。また、プロジェクトの結果は州議員らにも共有され、それが教育政策をめぐる議論に貢献し、高等教育改革の提案にも結び付くことが
期待されます。
 


★1: Fórum reúne especialistas para debater desempenho acadêmico no ensino superior
★2: Relatório de Impacto 2017 – 2019

地域 中南米
ブラジル
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
研究支援 研究評価