【ニュース・フランス】CNESで開かれた宇宙機関サミットにおけるFrédérique Vidal大臣のスピーチ

 
Frédérique Vidal大臣はフランス国立宇宙研究センター(Centre National d’Etudes Spatiales:CNES)で開かれた宇宙機関サミットで、2017年12月11日、宇宙気候観測所の創設を意図した意見表明について語った。

私はこの歴史的瞬間にみなさまとともに、参加できて非常に嬉しい。Emmanuel Macron共和国大統領のイニシアチブで、パリで開催された「One Planet Summit」の前夜に、「宇宙気候観測所」を創設するためにCNES本部に集まった。
 
それは人類が直面している大きな課題、すなわち気候変動問題に貢献するために結束したとき、世界の科学界の強みを象徴する極めて構造的な構想である。気候変動をよりよく理解し、具体的な解決策をまとめるというこの共通課題を克服するため、25ヶ国以上にまたがる世界中の宇宙機関の代表者が集っている。緊急を要することである。
 
人類が環境に影響を及ぼしていることが認識されてすでに1世紀以上経っている(イタリアの地質学者Stoppaniは1873年に「新しい地質調査がもたらす能力はその力においても普遍性においても地球の大きな力に匹敵するまでになった。」と述べている)。そして現在、世界は人間中心の時代に入ったといえる。人類史上初めて、フランスの知識人、Bruno Latourの言葉を引用すれば、「地球に目に見える形で影響を与える最強の力は人間によるものであると公に宣言する。」このような観点から、人間による影響は河川、洪水、浸食、生化学による影響と同じレベルで考える必要がある。
 
本質的に人間の活動が原因であることが知られている地球規模の気候変動は、経済、平和、そして世界人口の大部分の生活環境に対する脅威であり、最終的には地球全体に対する脅威でもある。地球温暖化を2度以下に抑えるという目標を達成するには、いくつかの面で並行して行動することが不可欠である。
 
われわれの惑星には分割された生態系が併存していると見なすことができた時代は終わりを告げた。大気、水圏、岩石圏、生物圏は、相互依存する多くの変数をもつ単一のシステムとして常に相互作用することが知られている。このとてつもない複雑さ故に、謙虚になる。それは最高の研究者を動員することによってのみ対処でき、毎日、このテーマに「人間性」をもって接することの重要さを少しでも納得させる必要がある。挑戦は巨大で大きな課題である。
 
観察し、測定し、モデル化し、実験し、過去の説明を試み、未来を予測するのを手助けしよう。これは科学的な問題から生まれているだけでなく、社会的、経済的な問題からも生じている。
 
本日署名している宣言は、宇宙から得られた気候の研究に関するデータを収集し、コミュニティー全体での利用を促進することを目的とした「宇宙気候観測所」の創設をめざしている。2015年パリCOP21会議で、歴史的な政治合意に達した。宇宙科学技術の貢献を最大限利用して、その実施を確実にすることはわれわれすべての責任である。この宇宙気候観測所の創設はこのことに直接貢献するだろう。
 
まず、地球システムを支配するすべての自然現象を科学的によりよく理解できるようになる。気候変動に関する政府間パネルのIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のおかげで、われわれはこれまで順調な進歩を遂げてきたが、まだやるべきことは山積している。科学コミュニティー全体はデータを必要としている。気候に関する基本的な変数の半分以上は宇宙からの地球規模での観測によってしか得られないことがわかっている。この点で、衛星からの地球規模で、恒久的、しかも即時に国境を越えて得られるビジョンは非常に大きな財産である。地球観測衛星はすでに軌道上にあり、今後数年間に打ち上げ予定の衛星によって補完され、豊富なデータが提供されるだろう。
 
われわれの挑戦は、これらのデータに幅広くアクセス可能で、かつ相互運用可能、そして長期間のデータ一貫性を保証することである。科学者、および科学者以外のユーザのために、このデータを配布、およびアーカイブ可能とするためのシステム構築が今後推奨されなければならない。さらにこれらのデータは相互参照可能であれば、価値は増し、飛行機や気球を使った地上、海上、そして空中で得られる局所データと組み合わせることで価値が増す。これは科学的に重要な問題であり、この宇宙機構観測所はその点で有望なステップである。
 
今年6月以来、共和国大統領の呼びかけ「われわれの惑星をもう一度輝かせよう」に賛同した受賞者たちに敬意を表したい。彼らは世界中の優れた科学者であり、世界中の優れた大学で研鑽を積んできた。フランス国立科学研究センター(Centre national de la recherche scientifique:CNRS)とフランス国立研究機構(Agence nationale de la recherche:ANR)によって選考される、各分野でフランス最高の研究室が2018年以降、参加するが、そのうちのいくつかはすでに今晩、ここに出席している。
 
これらの宇宙からの観測による2つの例を挙げよう。
 
高度測定衛星を使って海面上昇を定期的に監視することは、何も行動しなければモルディブのような壮大な島でさえ危険にさらされるだけでなく、最終的にはニューヨークのような主要な沿岸都市すら同様の結末となるということに気づかせてくれる、
 
最近の激しいハリケーンのエピソード、カリフォルニアで猛威を振るう地域的な火災、 Sahel(Sahara砂漠の南縁の草原地帯)の砂漠化、気候変動の兆候である最近、あるいは将来の水危機などがある。2000年に採択された国際宇宙憲章と大災害憲章のおかげで、衛星が自然災害管理の支援において不可欠な役割を果たしていることを強調しておきたい。
 
気候変動と水危機の研究、災害管理における宇宙セクターの国連持続可能な発展目標への関与は、ウィーンでこの6月に開催されるUNISPACE+50会議で討論されるだろう。フランスはそこでは、世界的、政治的、科学的アプローチでこれらの問題、そして宇宙の主要な役割の必要性を主張することになる。
 
最も重要だが、もっとも困難な点に触れて私のスピーチを締めくくりたい。歴史を作るとは、主要な温室効果ガス排出規制に向けて、各国がプロトコル実施に向けて前進することである。そのアプローチで合意に達するには長い時間がかかり、またむずかしいことはわかっているが、もし、われわれが生き残りを望むなら世界はそのプロセスから逃れることはできない。どのようなプロトコルであろうと、すべての人々が受け入れる監視手段が必要である。高性能衛星だけが、主要都市、各企業グループで、人為的な温室効果ガスを排出しているか、独立して測定することができる。欧州委員会は、このような衛星を将来のCopernicus歩哨衛星に求めていることに私は満足している。2つの主要な温室効果ガスに対する、メタンガス測定のための仏独プロジェクト Merlinと二酸化炭素ガス測定のための英仏プロジェクト MicroCarbは非常に有効な先駆的プロジェクトである。

 
2017年12月12日
 
Sommet des agences spatiales au CNES : discours de Frédérique Vidal
 

地域 西欧
フランス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 組織・ガバナンス・人事
大学・研究機関の基本的役割 研究
レポート 海外センター