【ニュース・ノルウェー】ノルウェーの大学の海外研究センターにおける今後の見通し

 
ヨーロッパに展開しているノルウェーの大学の海外研究センターの今後の見通しは、2017年の初めには不透明な状態だったが、改革により修正されつつある。
 
ノルウェーは過去30年間で、海外に複数の研究センターを設立した。1982年にイギリスのヨーク、1983年にはフランスのカーン・ノルマンディー、1986年にはドイツのキール、1989年にギリシャのアテネ、1998年にはロシアのサンクトペテルブルクにセンターを設立した。これらのセンターの使命は、学生に言語と文化を教えることに加え、センター設置国とノルウェーとの文化的な結び付きをさらに深めることである。
 
センターの多くは政府の資金援助を受けているが、各大学が運営している。古くからあるノルウェーの4大学(オスロ大学、ベルゲン大学、トロムソ大学、ノルウェー科学技術大学(NTNU))が、ノルウェー海外研究センターの創立メンバーである。後に、アグデル大学とノルウェー経済大学(NHH)も参加した。
 
2015年には、この5センターの資金調達費は1,500万ノルウェークローネ(※約2億円)だった。しかし、今日のセンターの経済基盤は不確実に見える。
 
そのため、参加機関のうちいくつかが、センターの活動内容の費用便益要因を他の国際活動と比較して調査するための評価団体を設立した。この動きは、いくつかの機関の参加撤回も招いた。ノルウェー高等教育協会(UHR)、ノルウェー側参加機関、ホスト国側参加機関の間で新たな組織的議論が続き、いくつかのセンターでは再構築のための特別な策が講じられた。
 
2017年5月、UHRは、全国人文科学教員会議にセンターの運営と資金調達について助言するよう依頼した。会議の説明資料によると、オスロ大学は2017年1月1日にカーン・ノルマンディーセンターとの協定を終了した。トロムソ大学は2019年の年頭にカーン・ノルマンディーセンターとの協定を終了し、2018年の年始からアテネセンターとの協定を終了することを決めた。 NTNUは、2019年1月からアテネセンターとの協定及びサンクトペテルブルグセンターとの協定を終了することを決定した。
 
しかし、このような状況にもかかわらず、カーン・ノルマンディーセンターとヨークセンターは、任務に適応して円滑に運営している。ヨーク大学に就任したErik Tonning教授がUniversity World Newsに語ったところによると、ノルウェーのすべての大学がヨークセンターを、英語教育を行うために継続して利用しており、2017年~2018年は週に1,400人の学生が参加する程に授業は予約でいっぱいとのことである。
 
カーン・ノルマンディーセンターに関しては、オスロ大学の撤退にもかかわらず、ベルゲン大学、アゲルダ大学、トロムソ大学、NTNUの4大学は引き続き協力している。NTNUの言語文化研究所所長であるAnnlaug Bjørsnøs教授が、参加機関を代表してNTNUのWebベースのニュースレターで次のように述べた。「フランス語で学士号の取得を希望する学生が500%増加し、ドイツ語で学士号の取得を希望する学生が31%増えました。このことが、言語を学ぶ学生の入学が長年下降傾向にあることを食い止める第一歩になることを期待しています。」
 
※ 円表記はJSPSストックホルム研究連絡センターが追記
 
University World News:Future of Norwegian study centres abroad uncertain

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