【ニュース・スウェーデン】博士課程教育の質を確保するために「グリーンライト」を導入

 
2008年にカロリンスカ研究所(Karolinska Institutet:KI)で導入された博士課程指導訓練プログラムの成功が証明された。 2008年以来実施されている出口調査の比較から、博士号取得候補者は教育内容に徐々に満足してきていることが分かった。 そして、博士課程の指導者は、次なる品質保障手法である「グリーンライト」を提供しようとしており、それは2018年の始めに導入される予定である。
 
「私たちの質保障のための取組は現在進行中で、あらゆる可能性を踏まえて対応しています。出口調査は大きな助けになっています。」とKIの博士課程教育に関する委員会で責任者を務めるMarianne Schultzberg氏は述べている。
 
2017年6月には、2013年から2016年と、2008年から2012年の各期間に博士課程の学生に対して行われた出口調査を比較した経年比較調査の結果が公表された。この調査は、博士課程学生の満足度が向上したことを明確に示している。良い教育を受けたかどうかという問いに対して、全体的又は部分的に肯定的な回答をした者は2008年から2012年の調査では89%であるのに対し、2013年から2016年の調査では93%だった。一方、不満足と回答をした者は12.8%から8.6%に減少した。出口調査の回収率は、75%から83%に増加した。
 
「博士号取得候補者が、指導者、指導者や監督者から受けている支援内容、博士課程教育の質をどのように評価するかについて、私たちの取組が成果を挙げていることが分かり、とても満足しています。」とMarianne Schultzberg氏は述べた。
 
2018年1月には、KI全体の同課程の教育の質を確保するために、新たな構造的構想「グリーンライト」を導入する予定である。これは、新しく候補者を募集する前に、各部局が、質の高い教育を行うための前提条件である、指導するための十分な時間と専門知識そして十分な資金があるかどうかを査定しなければならないというものである。
 
「たとえ大部分がこれらの前提条件を満たしているとしても、問題を提起するという単純な行動に意味があると我々は考えています。各部局は2017年の秋の期間に、グリーンライトを導入するための準備をしてきました。」とMarianne Schultzberg氏は述べた。
 
現在、博士課程の学生を募集し指導することを希望する研究者は、2008年に導入されたKIの博士課程指導入門コース又は同等のコースを受講することが義務付けられている。博士課程の学生はまた、このコースの導入以来、指導者の専門知識と熱心さが高まっていることを実感している。出口調査によると、取得候補者の80%が自分と同じ指導者を、将来の有望な取得候補者に対しても推薦している。これは2008年から2012年の調査時の74%から増加している。
 
この他に、不平等、差別、嫌がらせの領域においてわずかばかり改善がみられたが、経営者側は依然として対処すべき点が多数残っていると感じている。2016年、調査の回答者のうちの14.3%は、博士課程在籍中にそのような扱いを受けたことがあると明言した(2008年から2012年の期間では16.5%)。しかし、直属の指導者からそのような扱いをされた人はかなり少なかった。「グリーンライトは、このような現状を把握するためのさらなる構想です。」とMarianne Schultzberg氏は説明した。
 
Karolinska Institutet:“Green Light” introduced to ensure quality in doctoral education

地域 北欧・バルト三国
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取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育、質の保証
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