【ニュース・ノルウェー】クォーター制度廃止の検証

 
2016年の議会で、南半球や東ヨーロッパからの学生に対して、1,100件の助成金を提供するクォーター制度の廃止が決定されて以降、ノルウェー政府は、本制度の検証を行っている。
 
同制度の廃止により、貧困国からの学生の数が大幅に削減され、アジアからの裕福な学生が増加した。これにより、大学の対応の変更を余儀なくされたと危惧する学長もいる。
 
後継プログラムとして、NORPART(Norwegian Partnership Programme for Global Academic Cooperation)が実施された。前プログラムは個別の学生への助成金であったのに対し、後継プログラムは機関間の学術連携と学生間交流の促進に焦点を当てたプログラムであり、政党間でも評価が分かれている。
 
クォーター制度の廃止に伴う否定的な影響として、ベルゲン大学の2人の副学長Annelin Eriksen氏とOddrun Samdal氏は、クォーター制度下では、年間約100名だった留学生が、廃止以降は3か月で20名未満となり、学生や大学職員と良好な関係を構築することが困難になったこと、そして、入学時期がそれぞれの学生で異なることにより住宅の確保が大きな負担になっていることを指摘している。
 
一方、肯定的な影響として、サウスイーストノルウェー大学の学科長を歴任し、ベルゲン大学元副学長のRune Nilsen教授は、ノルウェーの教育機関で博士課程の学生が現地の優秀な研究グループに加わり、これがノルウェーの研究に良い影響を及ぼしたことを言及した。これにより、ノルウェーの機関が当該学生の在籍機関とのパートナーシップの強化につながった。
 
クォーター制度の再検討・再構築は、開発途上国に対する開発援助プログラムではなく、ノルウェーの大学活動の中核を担うことが期待される。
 
2019年3月30日
 
University World News:Pressure mounts to review decision to close quota scheme

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