【ニュース・ドイツ】研究不正:文書による戒告と2年間の応募資格の停止

 
ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、申請者の学術的不正行為に対して新たな結論を導き出した。ドイツ最大の研究助成機関であり、学術に関する中心的な自治組織であるDFGの協議会により、2018年3月16日にこの決定が行われた。2018年3月ボンで開催されたDFGの研究不正調査委員会は、研究者1名に対して、「文書による戒告」ならびに「2年間の応募資格停止」を決定した。
 
当該研究者は、DFGに研究助成申請書を提出したが、その申請書には、主要な箇所がほとんど一字一句そのまま、他の申請書から、適切な注釈なしで転用されていることが明らかとなった。転用元の申請書は、選考委員会のメンバー自身によって他の助成機関に提出され、すでに承認されていた。この転用は、DGFによって行われた調査により確認された。
 
DFG事務総長、ドロテー・ツヴォニック(Prof. Dorothee Dzwonnek)議長の下、研究不正調査委員会は、これを剽窃であるとし、かつ学術的不正行為に関するDFG手続規則に則って、学術的不正行為だと判断した。当該研究者は、自らの申請書について、他者の発案であるという注釈を記載したうえで正確に作成すべきであった。これは、科学研究における基本原則である。また、特に当該研究者はDFGにおいてすでに申請経験があり、学術的に倫理的な行為原則に従って行動すべきであった。申請書作成にあたって、当該研究者は学術的に倫理的な行為原則に従うと誓約していた。
 
研究不正調査委員会は、「文書による戒告」ならびに「2年間の応募資格停止」を、研究不正に関するDFGの取扱手続規定に則って適正かつ妥当な措置であるとした。これに、DFGの協議会は同意した。これらの措置は、当該研究者がもはや大学の研究に従事しておらず、その間にすでに申請を撤回したという事実と矛盾しない。「この事実は、剽窃そのものを変えるものではない」と、ツヴォニック事務総長は協議会の決議後に強調した。「一般的に、学術的不正行為は、研究に従事し続けるか研究を中止するかということとは全く関係なく、これとは独立して調査され、必要に応じて、処罰されなくてはならない」
 
2018年3月16日
 
DFG:Schriftliche Rüge und zwei Jahre Antragssperre
 

地域 中東欧・ロシア
ドイツ
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