【ニュース・ドイツ】学術研究のための情報インフラ

 
ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、デジタル化、オープン・アクセスへの変換、研究データ管理といった観点から、学術情報インフラのさらなる将来的発展に向けて、新たな指針書を採択した。このドイツ最大の研究助成機関であるDFGの評議会は、2018年3月15日の会議において、指針書「学術情報基盤の推進」に同意した。
 
この文書は、DFGの「学術文献の保存と学術情報システム(Literaturversorgungs- und Informationssysteme:LIS)」の領域における助成活動に対する今後数年間の指針を示している。この指針では、様々な学術分野における包括的なデジタル化と、絶え間なく続くダイナミックな変化を考慮しつつ、その起点を分析するとともに、課題や優先的な活動分野を定義している。
 
図書館学術情報システム委員会(Ausschuss für Wissenschaftliche Bibliotheken und Informationssysteme:AWBI)によって策定された戦略文書では、データ集約化・ネットワーク化された学術分野における現在の要請、そして、様々なレベル(学術的コミュニティ間、様々な学術情報基盤間、学術情報基盤と学術的コミュニティの間など)における調整や協力に対する要請の高まりが記述されている。
 
こうした背景の下、DFGは、学術における自己組織化のプロセスを非常に重要視している。それと同時に、各学術分野および情報基盤設備においてだけでなく、情報基盤提供者側と専用サービス利用者側においても自己組織化のプロセスが重要であるという課題を見出している。
 
DFGは学術情報基盤の資金調達に関して、地域を超えた関連インフラの持続的かつ長期的な展望を開くためには、科学政策の努力が不可欠であるとしている。専門的なレベルでは、この文書は主に、3つの振興分野を扱っている。その3つとは、情報ソースの開発とデジタル化、オープン・アクセスへの変換、研究データ領域である。開発とデジタル化の振興分野では、印刷資料と手書き資料に対するこれまでの制限が撤廃され、学術的に興味深いとされうるすべての対象物に支援が拡大される。
 
オープン・アクセスへの変換の振興分野では、資金調達の問題に加え、研究者がオープン・アクセス上で公開するにあたり求められるオープン・アクセス・ポリシーの更新や、モニタリング・メカニズムの確立にも焦点を当てる。研究データ領域では、専門分野に特化したポリシーや規則の開発が支援されている。全体的な目標は、研究データ管理の能力を強化し、既存の研究データ情報基盤のネットワーク化を一層促進させることである。
 
2018年3月21日
 
DFG:Informationsinfrastrukturen für die Wissenschaft
 

地域 中東欧・ロシア
ドイツ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
国際交流 研究者交流
レポート 海外センター