【ニュース・ドイツ】国際的な博士課程学生についてのデータを初めて掲載。NACAPS研究の成果

 
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ドイツの博士課程研究はどれほど国際的か?ドイツ高等教育科学研究センター(DZHW)は、初めてこの質問に対して科学的分析を行い調査した。分析は全独学術パネル調査(Nacaps)の第一波として DZHW によって2019年に収集された調査結果に基づいており、その調査には合計で28,000名以上のドイツの博士課程学生が参加した。ドイツ学術交流会(DAAD)は、連邦教育研究省の資金助成とともに特別評価に対して資金助成した。DZHW 研究員であり、この研究の著者でもあるヤンカ・ヴィリゲ氏は結果を要約している。

 
ヴィリゲさん、あなたはドイツにおける博士課程研究の国際性の特別な評価を行いました。あなたにとってこの研究の何が特別なのでしょうか。

 
この Nacaps の特別評価により、ドイツにおける博士課程研究の国際性について包括的な印象を初めて得ることができた。この第一波の調査データ、すなわち2019年の初めからの初期段階調査は2つの見方から分析された。その見方とは、今のところすでに博士課程研究で一時的な海外滞在を完了した博士課程学生の視点と、ドイツの大学で博士論文を書くことを決めた博士課程の留学生の視点である。特別評価は、国際的移動に対する姿勢、管理と雇用の状況、将来のキャリアプランなどの厳選したトピックに焦点を当てている。この研究の特筆すべき特徴の一つは、国際的な博士課程学生に係る包括的なデータが初めて評価されたことである。それは、さらに詳細な研究の基礎としての役割を果たすこともできる。

 
あなたの調査結果によると、27%の国内博士課程学生はすでに海外に行っているようですが、あなたから見てその値は多いでしょうか少ないでしょうか。また、ドイツでの博士課程の間に博士課程学生が海外へ行く、もしくは行かないことについて、何が主な理由でしょうか。
 

今のところ海外で過ごしたことがあると回答しているドイツの博士課程学生が27%というのは、2019年の初めの調査時点における状況を記録した最初の数値である。したがって、それが公式統計で報告された、学位に関係する移動が識別できる初めての調査結果である。この数値を分類するため、それを一時的な海外滞在に乗り出す博士課程学生(比較的規模は小さいが)と比較することができる。両方のグループにとって、海外への(更なる)移動の段階は、彼らの研究や博士課程において排除されていない。学生の海外滞在は、研究段階の後半でますます行われており、博士号取得後にさらに海外滞在は実行されている。一時的な海外移動の更なる発展についての分析、そして最近究明された割合の確認は、将来のNacaps調査を基にして、可能になるだろう。

 
今のところ博士課程の中で既に海外滞在を終えた学生は、たいてい海外滞在と研究スキルの獲得を結び付けている。また、ドイツ国外の科学者との共同研究する願望と、外国語スキルの改善も重要な視点である。回答者の半分はキャリア関係の動機に言及しており、またそれと同数程度の回答者は、海外滞在は課程の修了要件の一部と言及している。

 
一時的な海外滞在を(まだ)経験していない博士課程学生は、特にその後に続く障害を考えている。半分をわずかに超える者はパートナーや子ども、友人と離れ離れになることを見込んでいるが、多くの場合、移動についての経済的な問題やドイツ国外で適切な専門家の職を見つける難しさがある。

 
あなたの調査の回答者のうち17%は、外国籍で海外大学の入学資格を持つ博士課程の留学生でした。この数値はどのように解釈されるでしょうか。また、このような博士課程学生は、どの程度ドイツでの生活や仕事の状況に満足しているでしょうか。そして、博士課程を修了した後の彼らの計画はどのようなものでしょうか。

 
17%という数値を大局的に見るためには、ドイツにおける留学生の割合を見ることが有用である。ドイツ連邦統計局によると、2019/2020年冬学期の11%というこの数値は、本調査に回答した博士課程学生における数値より明らかに低い。Nacaps 調査の潜在的な可能性は、特に博士課程学生や博士課程の状況というトピックの内容に関連した調査結果の収集、キャリアパスの展望を描くことにある。それゆえ、この調査は大学を選ぶ動機、指導状況、大学の環境の統合、資金調達とキャリア統合に焦点を当てた。言い換えると、生活と仕事の状況における様々な側面についてである。結果を要約すると、博士課程の留学生の多くの割合は、博士課程生活、家庭生活の両方の状況に満足しているか、非常に満足しているということを示している。回答者のうち半分以上は指導状況に関してはそう述べており、また3分の2は博士課程の間の生活資金の資金助成を経験している。博士課程を修了した後の将来の職業について、博士課程の留学生の大多数は、アカデミックキャリア(大学教員としての資格)だけでなく学術界の外での研究や開発に関連した活動も魅力的だと思っている。このように、調査した博士課程の留学生は研究と科学に親和的であることがわかった。

 
2021年11月19日

 


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