【ニュース・ドイツ】ドイツの研究、世界のトップへ

 
連邦政府が「研究とイノベーション報告書2018(Bundesbericht Forschung und Innovation 2018)」を議決
 
連邦教育研究省(Bundesministeriums für Bildung und Forschung:BMBF)のアンヤ・カリチェック(Anja Karliczek)大臣:「応用の迅速化が必要」
 
国際競争力について、ドイツは研究とイノベーション(R&I)のおかげで上位を維持している。これは、とりわけドイツが海外で販売している研究集約型商品の国際的割合が高く維持されていることに反映されている。イノベーションにかかる国際ランキングで、ドイツは長年にわたりトップクラスに位置する国の1つである。これらのことは、2018年6月6日に連邦政府により議決された「研究とイノベーション報告書2018」から明らかである。
 
BMBFのカリチェック大臣は、次のように述べた。「ドイツは、連邦政府と民間セクターの共同コミットメントを通じて、国際競争力において高い地位を確立してきた。ドイツは世界のイノベーション・リーダーである一方、国際競争の圧力は高まっている。そのため、ドイツは特に応用の点でさらなる迅速化が必要であり、また中国と米国に遅れを取らないよう欧州域内で協力していく必要がある。ドイツは新たな研究・イノベーション(R&I)戦略でこれらに対応している。」ここでの重要なポイントは、教育とイノベーションの方針を結びつけることである。「教育と高度なトレーニングは、特にデジタル化を通じて、あらゆる人々の仕事や社会の世界を変革している新たな技術やビジネスモデルを理解し、適用し、また生涯にわたって活用していく鍵となる。」
 
これまで、今日のようにドイツが研究開発(R&D)に多額の投資をしたことはなかった。政府や経済界、科学界は、R&Dへの支出を近年着実に増やしてきた。2016年には、922億ユーロという記録的な水準に達した。このうちおよそ3分の2が経済界によって投資されており、2016年はおよそ630億ユーロという新たな高水準を記録した。2016年の連邦政府からの支出は156億ユーロに上った。この金額と比較すると、2005年は連邦政府からの支出は90億ユーロであり、2005年から2016年にかけて70%以上増加している。
 
世界市場における100万人あたりの重要特許数について、2015年にドイツは371件の特許を有し、米国(200件)と中国(27件)を大きく上回っている。しかし、上位になったことで満足すべきではない。デジタル化の分野では、FacebookやGoogleの例が示すように、米国はより成功した新規事業を生み出している。中国は集中管理された産業政策に基づき、特定の技術に大幅な助成を行っている。カリチェック大臣は、「ドイツにとって、適切な研究・イノベーション(R&I)政策に基づいて競争力を確保し、将来の成功への道を開くことは戦略的に重要だ。」と強調している。
 
その目的は、ドイツ経済のポジティブなダイナミクスを維持し、あらゆる市民が研究に強いイノベーティブなドイツという国の利点を活用できるようにすることである。そのためには、R&Iが人々に役立ち、彼らを中心に置くことが、常に明確でなければならない。より早く病気を治すこと、より簡単で持続可能な移動を可能にすること、あるいは、コミュニケーションを安価で安全に提供できるようにすることにおいても、これがあてはまる。同時に、誰もが技術と社会の急速な変化についていくためには、対応する能力を高める必要がある。これは、学校や教育でのデジタルメディアの使用から始まり、プログラミングスキルとITへの理解がますます要求される職業人生へと続いていく。オープンなイノベーションとサイエンスシステムは、アイデアの開発、容易なやりとり、迅速な応用を促進する。
 
連邦政府は国内総生産(GDP)の3.5%を研究開発(R&D)の割当額として投資することを目標に合意した。この目標は、2025年までに経済界とともに達成されるべきである。それに加え、研究開発税制の導入もこの目標に寄与すべきである。
 
2018年6月6日
 
BMBF:Deutschland forscht sich an die Weltspitze
 

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