【ニュース・デンマーク】業績を重視した資金分配のための新たな対策

 
デンマーク高等教育・科学省は、教育の質の向上、業績を重視した資金配分の実施、及び高等教育と雇用市場との連携に関する声明を発表した。
 
Søren Pind高等教育・科学大臣は政府の目標について、「これまで、60%の学生が高等教育の学位を取得するという指針を掲げてきた。今やこの目標を達成したので、次は質という点に重点を置く必要がある。我々は世界と比べても優れた教育システムを有しているが、もっとうまく教育しなければならない」と述べた。 
 
政府の掲げる3つの主な目標は以下の通り。

  • 精神、知識、批判的思考の向上に寄与する高い教育水準とより優れた学習成果
  • 高等教育と現在及び将来社会で必要とされる能力との緊密な調和
  • 長期間の実務経験を有する高い教養のある人材の育成

 
同大臣が発した声明の概要は以下の通り。

  • 学生は大学の選択を慎重に行う必要がある。就職した際には、その業務に関する技術的な理解だけでなく、創造性、協調性、共感力、人知が必要とされるだろう。このため、深く幅広い科学的な知識に加えて、一般的な思考を超えて、積極的に社会に参画する能力を有する学生を望む。
  • ヨーロッパ28ヶ国の学生を対象とした調査において、学士号を取得して修士課程に進学する前に一定の期間を設けたデンマークの学生はわずか9%であるのに対して、欧州全体の平均は21%、ノルウェーは38%、スウェーデンは30%だった。本調査の結果、同国では学士号を取得した後に就労体験のある学生が少なすぎるという課題が明らかになった。
  • このような状況を踏まえ、同省は、2018年秋に、学生が学業と並行して週25時間の労働を行うことができる4年間の修士課程プログラムを創設する。
  • 同省は、大学の学業のレベルが高すぎてついていけないことが、学生が脱落する最も一般的な理由だと分析した。デンマークの各大学で調査を受けた学生のうち、81%は学業のレベルが高すぎると回答し、レベルが低すぎると回答したのはわずか19%にすぎなかった。1年目の脱落者のうち約半数は、その翌年、他の研究分野で活発に取り組んでいた。同省では、これらの調査結果を踏まえ、学生が大学に進学する際の学問選択をより慎重に検討する必要があると考えている。
  • 同省では、今後、新たな助成プログラムの下、アンケート調査を活用して教育の質を計測する新たな指標に基づき大学を評価する。この新たな指標は、2023年から一般財源を獲得するための評価及び各大学がいかに教育の質を向上させているかを周知する際に使用される。今後、本プロジェクトのために任命された専門家が各分野の比較を行うための指標を開発する。

 
University World News:New measures developed for performance-related funding
 

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン、その他の国・地域
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育、質の保証
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