タイのオートメーション・インテリジェントロボット産業は、国内外の産業界からの需要の増加と確立されたエコシステムにより、近年、好調に
推移してきた。
自動車、食品・食品加工、電子機器など、世界的に競争力のあるサプライチェーンを持つタイでは、ビジネスとして産業用オートメーション・
ロボットの需要が高まっており、生産性の 向上に大きな効果を発揮している。また、タイのサービスロボット産業は、新型コロナが世界的に大流行
する時代において、高齢者の介護や医療サービスの提供などのニーズに対応した 革新的な技術の導入により、飛躍的に成長している。
タイは、モノのインターネット、機械、情報通信技術、電子機器の開発が既に進んでおり、オートメーション・ロボットのサプライチェーンに
おいて強固な基盤を持っている。また、タイにはロボット工学の分野に熱意ある人材が多く存在するのみならず、政府もインテリジェントロボット
技術の開発を積極的に支援している。
現在、タイのロボット産業は200~230億米ドル規模で、デジタル化の進んだスマートマニュ ファクチャリングを可能にするAI、5G 接続、
クラウド通信技術を組み込んだ国産のロボットもこれに含まれる。
国際ロボット連盟(IFR) によると、タイは2019年に東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の中で産業用ロボットの数が最も多く、約3,000台
が稼働しており、世界で導入されている産業用ロボットの総計37万3,000台のほぼ1%を占めている。
2019年に従業員1万人あたり45台の産業用ロボットが導入されたタイは、ASEANの中でシンガポールに次いでロボット・オートメーション第2の市場
となった。アジア全体では、従業員1万人あたりの産業用ロボットの平均台数は63台であった。
IFRでは、工場や倉庫、病院などのサービス提供者の間で、物流の役割を果たす自動案内車の利用が、毎年約60%ずつ増加し、2022年には70万台
を大きく超えることが予測される。また、タイ国内の企業では、自動車、食品・食品加工、電子機器、プラスチック・ゴムなどの業界で、溶接や
組み立てから、塗布や洗浄に至るまで、様々な業界の幅広い工程でオートメーションやロボットの利用が増えている。
タイは世界有数の自動車生産国であり、自動車生産台数全体ではASEANトップ、特に商用車の生産台数では世界第6位となっている。また、食品や加工
食品の生産でも世界有数の規模を誇り、電子工学の分野では、ハードディスクドライブなどのデータストレージユニットの生産量は世界第2位である。
ASEAN全域の企業がオートメーションを進め、ポストパンデミックの時代に起こる頻繁な変化に適応しようとしている中、オートメーション・
ロボットの拡大は、現地企業や投資家に大きなチャンスをもたらすだろう。
さらに重要なのは、タイは世界で最も活気があり、最も急速に成長している市場の一つであるCLMV諸国の中心に位置していることである。
タイのロボット・オートメーション産業は、これらの国の産業界が今後、より多くのロボットやオートメーションシステムを採用していく中で、
将来的な成長が見込まれている。
地域 | アジア・オセアニア |
国 | タイ |
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