2018年1月31日、スウェーデンの特別調査官であるAgneta Bladh氏が、指標調査の冒頭部分をHelene Hellmark Knutsson教育大臣に提出した際、同大臣から、スウェーデンは国際化において、“大きく遅れをとっている”との苦言が呈された。
同大臣によれば、「欧州連合(EU)の目標値として、学生の20%が海外で学位を取得することが掲げられているが、スウェーデンにおけるその割合は14%にとどまっている。しかも、専門課程ではわずか4%にすぎず、スウェーデンは大局的な視点があまりに欠如している」とのことだ。
海外からスウェーデンの大学への留学生の数は、2010-11年度に46,700人でピークを迎えたが、留学生に対する学費の支払いが義務付けられたことに伴い、2013-14年度には、32,600人と最低の数値を記録した。その後、回復傾向を示し、2016-17年度には、35,900人を記録した。
しかし、ウプサラ大学のように、留学生に対する学費の支払いの制度が導入されても、それ以前と留学生の数が変わらない大学もある。
提出された第一次報告書では、政府レベル、大学レベルの総合的な国際化の取組の必要性が強調されるとともに、学生や教員の受入れ・派遣の問題にいかに対処するかについての提案がなされた。
加えて、高等教育法において国際化に関する新たな文言、すなわち、各大学におけるすべての国際的な活動は、教育や研究の質の向上に寄与するとともに、国内外の持続的な発展の達成に寄与すべきである、という内容を追加すべきとの提案がなされた。
さらに、いかにスウェーデンを、世界をリードする良質の教育と研究を有する最も魅力的な知識国家の一つにしていくかに関する8つの包括的な目的が詳細に言及された。
また、2025年までに、海外に留学する学生の割合を25%とする新たな数値目標と、より柔軟な受入れ・派遣を可能とする新たなプログラムに関する提案が盛り込まれた。
今回の調査において、Sverker Sörlin教授らにより、2006年に実施された博士課程教育に関する研究結果、これにより、デンマークでは、博士課程の学生の数を約2倍に増加することにつながったのであるが、これを有効に活用することができるであろう。
本研究における同教授の提案は、博士課程段階での留学生や教員の受入れを含む高等教育に関する特別予算として、今後6年間で、GDPの約0.5%に相当する400億デンマーククローネ(※約7,080億円)をデンマークのグローバル化に係る特別予算として配分するとするデンマークの政党横断的な合意と一致するものである。
教育大臣によれば、「デンマークの事例は政治の関与の重要性と国際化への多額の投資の必要性を示している」とのことだ。同大臣は、スウェーデン政府が、大学と研究の国際化のための資源を優先事項とすることをいとわないことを願っている。
本年10月末までに提出される最終報告書の中で、この問題を詳細に取り扱うとしている。
※ 円表記はJSPSストックホルム研究連絡センターが追記
University World News:Overhauling strategies for HE internationalisation
【ニュース・スウェーデン】高等教育の国際化戦略の抜本的な見直し
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