【ニュース・イギリス】IFSの報告書:コロナ禍により高等教育が重大な資金不足に直面(2)

 
 現在人口構成の変動時期であり、16歳、17歳の人口は2019年から2023年にかけて13%増加すると見込まれている。コロナ禍により職業訓練
や雇用の機会が大幅に減少したこと、及び一般中等教育修了資格試験GCSEの成績が異常に高くなったことが相まって、継続教育のカレッジや大学
進学を目指すSixth Form(※2)に進む学生の数は増加すると見込まれている。

 
 2019年の政府の歳出計画案における継続教育及びSixth Formに対する4億ポンドの追加資金提供の確約を含んでもなお報告書はこれらの
特別な状況が、学生一人あたりの資金提供の実質的な減少を生み出しさえすると結論づけている。

 
 2010年の保守党と自由民主党の連立政権以降、教育部門はいずれにおいても最も大きな支出減となっている。継続教育やSixth form Collegeの
学生一人あたりの資金提供は、2010/2011学事年度から2019/2020学事年度にかけて実質的に12%削減されており、School sixth form
では23%削減されている。

 
 またIFSは、ロックダウン期間中の教育への不公平感の拡大を示す証拠として、より恵まれない学校や地区を対象とした、より多くの資金提供
を求める揺るぎない主張があると論じている。

 
 Nuffield Foundation の最高経営責任者であるTim Graham氏は、「この報告書は、イングランドの教育資金とコロナ禍の影響によりもたらされる
新たな課題に強力な光を当てている。教育システムのすべての段階において追加の財政的支援に対する圧力がある。教育の不公平感はさらに拡大
するリスクがあり、IFSの分析は、貧困地区の学生の学校への参加や若者の継続教育カレッジへの参加など、教育の機会を逃す最もリスクのある
子供や若者をターゲットにした資金提供がなぜ重要なのかを明らかにしている。」と語った。
 


※2: Sixth Form:イングランドでは、大学進学を目指す学生は義務教育修了後に2年間のSixth Form課程に進学する。大学進学の最低必須条件は
    GCSEGCE Aレベルの結果と大学入試機関(UCAS) への登録である。Sixth Formには、中等学校に設置されているSchool sixth formと
    呼ばれる課程と独立の学校として設置されているSixth form collegeとがある。


University Business:Pandemic leaves higher education facing “significant funding shortfalls” – IFS
 

IFS報告書: 2020 annual report on education spending in England

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政
大学・研究機関の基本的役割 教育
学生の経済的支援 学費
統計、データ 統計・データ