2020年11月3日、University Businessは、英国のシンクタンクである財政研究所(IFS)の新たな報告書が、教育システムの至る所で資金不足や
不公平感が拡大していることを警告していると報道した。
また、大学やカレッジが、コロナ禍により引き起こされた差し迫った課題を必死に受け入れようとする一方で、その後の長期的な資金調達の
課題も同様に深刻であるとしている。
Nuffield Foundationからの資金提供を受けてとりまとめられた報告書 “2020 annual report on education spending in England” では、
各方面からの多くの懸念事項が指摘されている。
学生数はこれまでのところ予想に反して現状を保つ一方で、IFSは大規模な中途退学者やそれと同等の収入減が依然として明確である
ことを指摘している。
当然、コロナ渦は大学をすでに卒業した者にも影響をもたらしている。IFSは、予算審議委員会(OBR)(※1)の悲観的な見通しに基づくと、
2020年までの大学入学者の学費ローン返済額が120億ポンドの減少、主要なシナリオであってもおおよそ50億ポンドの減少を予測している。
それにもかかわらず、これらの懸念事項は年金費用によるものと比較するとその存在は霞んでしまう。
この報告書の共同著者のひとりであるBen Waltman氏は、「大学にとって最大のリスクの根源は、主要な大学年金制度の莫大な赤字で、
最新の仮見積もりでは2018年3月の36億ポンドから2020年8月には215億ポンドに増加した。この年金制度を改革せずに当該赤字をなくす
ことができるのだろうか。」と述べた。
※1 予算審議委員会(OBR):政府の予算案作成に先立って独自の分析を行う非政府系公的機関
University Business:Pandemic leaves higher education facing “significant funding shortfalls” – IFS