【ニュース・イギリス】GDP2.4%の研究開発投資支援のための、リサーチ・イングランドのQR 関連研究の向上

 
2019年7月2日、リサーチ・イングランド(Research England:RE)は、大学研究と知識交換のための全体予算を発表した。REは、2019-2020年度にイングランドの大学に対し9,100万ポンドを追加で投資し、2019-2020年度の全投資額は約22億ポンドになる。
 
この追加投資は、2027年までにGDPの2.4%を研究開発に投資することを推し進める英国政府の公約の実現を加速させる。この増額された資金は、政府の産業戦略を実行する大学を支援する(※)国家生産力投資基金(National Productivity Investment Fund:NPIF)から出資されている。
 
9,100万ポンドの内訳

  • 4,500万ポンドが、主流のQR(Quality-Related)資金に割り当てられる。QR資金は、RE最大の資金となっており、大学での中核的役割を果たし、学術的卓越性を促進し、地球上の人々の生活にプラスの影響を与えることを可能にする。QR資金は、厳格な研究評価制度(the Research Excellence Framework: REF)にリンクされており、新しく強力な大学パートナーシップを通じて、ビジネス界や慈善団体からの追加の資金を活用しつつ、研究能力及び可能性の形成に重要な役割を果たす。主流であるQR資金は、2018-19年度の10億5,000万ポンドから2019-20年度の10億9,500万ポンドまで増えた。
  • 2,300万ポンドは、国家イニシアティブ(国家の優先課題)であるI3スキームのような国際的研究協力のサポート、及びE3スキームを通じての小さいが卓越した部門における研究能力を向上させる研究に増資される。国の施設とイニシアチブに対する予算は、2,300万ポンドから4,600万ポンドに増える。
  • 地球規模課題研究基金(Global Challenge Research Fund:GCRF)からの1,000万ポンドは、大学が世界の貧しい国の一部の人々の生活に真の変化をもたらすようなODA適格国とのさらなる協力を追求することを可能にする。REの地球規模課題研究基金は、5,800万ポンドから6,800万ポンドに増える。
  • 1,300万ポンドは、英国リサーチ・イノベーション(UK Research and Inovation:UKRI)を構成する個々の評議会が、共通の関心事項に取り組むため協働していることを認識し、戦略的優先事項に対応する大学に割り当てられる。REの戦略的優先事項資金は、1,600万ポンドから2,900万ポンドに増える。

 
それ以外の資金の流れについては、昨年と同レベルで維持されている。(減額はされていない)

  • 高等教育イノベーション基金(Higher Education Innovation Funding:HEIF)は、大学と、より広い世界の間の様々な相互作用を支援し、最新の産業戦略の実行を助けており、2億1,000万ポンドを維持している。
  • 大学が慈善のための研究にかかる全費用を賄うのを助けるQR助成金の慈善研究的要素は2億400万ポンドで、昨年度から増額された。
  • QR助成金のビジネス研究要素は、6,400万ポンドで維持されている。
  • 大学が次世代の研究者を養成し、大学院での研究を通じて、研究や、より幅広い経済界への人材のパイプラインの健全性を保護することを支援するQR助成金の大学院研究の質監督にかかる要素は、2億6,000万ポンドで、昨年度から増額された。
  • 国立研究図書館の資金は700万ポンドで維持されている。
  • HEI Research Capital Englandの資金は、9,600万ポンドで維持されている。
  • 高等教育研究基金は、8,700万ポンドで維持されている。

 
合計約22億ポンドの予算から、REは、大学が実行する知識交換活動と研究の質に関する基準に従って、イングランドの高等教育機関それぞれに個別の金額を割り当てる。
 
Chris Skidmore大学担当大臣は以下述べた。

2012年以来初めて、大学のQR資金が大幅に増加したことを嬉しく思う。個人的な優先事項の一つは、将来に向けて大学をイノベーションの中心にすえることであり、これを実現するために努力できたことを嬉しく思う。
今日のこの声明が、大学研究の重要な認識と、研究の最強国家としての英国の国際的立場を発展させられる大きな利益を有する、より柔軟で好奇心に基づく研究に投資する必要性を示している。
研究開発への投資増は、2027年までにGDPの2.4%を投資するという我々の産業戦略の重要部を果たす政府の目標の鍵となっている。政府は既に2021年までに研究開発に70億ポンドを追加投資することを既に約束しており、これは40年間で最大の増額である。

 
REのDavid Sweeney会長は次のように述べた。

来年、イングランドの大学への資金レベルが増加することを発表できて嬉しく思う。この公的投資の増額は、イングランドの大学における世界レベルの学術研究の補強となり、知識交換型資金とともに、我々の社会のあらゆる場面に利益をもたらす大学のパートナーシップの中心となる。
イングランドの大学研究は、地球的課題に取り組む鍵となる。そして、地球規模課題研究基金(GCRF)からの投資増は世界の貧しい地域との更なるパートナーシップを可能にし、人々の生活に違いをもたらすだろう。
本日発表された資金は、UKRIの内部研究評議会とInnovate UKを通じて提供された分野別及びプログラムに焦点を当てた資金とのパートナーシップにおいて機能し、2027年までにGDPの2.4%を研究開発投資に充てるという政府公約の一部である。

 
2019年7月2日
 
UKRI:Uplift for Research England Quality-related Research funding to support the Government’s 2.4% commitment to R&D 

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