【ニュース・イギリス】調査報告書:英国における留学生の持続可能な未来

2018年11月6日、英国の国際教育関係者ネットワークExporting Education UKは、超党派の国会議員で構成される留学生関係議員連盟(APPG:All-Party Parliamentary Group for International students)が、過去8年間にわたる政府の規制的な政策の後に世界における教育界の競争的地位を回復させるために設けられた、英国の国際教育の持続可能な成長のための計画案を発表したと報じた。

 

報告書は、2018年9月に発表された移民諮問委員会(MAC:Migration Advisory Committee)の報告書と2018年1月に高等教育政策研究所(HEPI:Higher Education Policy Institute)とKaplan(注:米国に本拠を置く国際的な教育企業)が発表した国家や地域への留学生の経済的貢献に関する研究利益に続く、留学生が英国にもたらす利益を明確に示してきた数多くの研究の一つである。

 

報告書では12の勧告が示されている。その内容は:

 

政府に対する勧告

  1. 複数の部門にまたがるグループが、留学生の数を増やすために明確で野心的な目標を設けるべきである。このことは複数部門にまたがる戦略や、学生を移民総数の対象から除外するという合意事項によって支援されるべきである。
  2. 政府は、英国で2年までの就業経験を可能にする、明確に分類された魅力的な卒業後就労ビザを提供するべきである。
  3. 政府は、ヨーロッパの大学との関係を近づけるための一環として、学生や研究者の無制限な移動についてEUと合意すべきである。そして、英国において学び、研究しているEU市民に対して、彼らのビザや研究資金の権利がいかに変化するかを即刻はっきりさせるべきである。
  4. 移民関係の規則は、学生が英国で、そして英国教育システムのすべての段階で学ぶことを促進、奨励すべきである。
  5. 政府は、現在提案されている雇用戦略の中で、小規模な、専門的な、職業訓練的なまたは継続教育の教育機関を含む英国教育の選択肢の多様性を促進し保護するべきである。
  6. 国境局独立主任検査官(Independent Chief Inspector of Borders and Immigration)は、学生移民制度の中で、目的に沿っているか、現在あるリスクと比べて費用が効果的か、留学生の多様性を制限していないかなどを確かなものにするために、信頼性確認面接制度(注:学生ビザを申請する際に受ける手続きの一つで、申請者が本当に学生かどうかを審査するもの)の評価作業を独立して行なうべきである。
  7. 留学生数の増加を支援し、留学生に頼っている地域独自の課程や教育機関を保護し、就業経験制度や業界の関与など国際教育の利益を高めようとする地域及び国家の取り組みを支援するために、政府と、分権された地方政府とが密接に関わっていくべきである。
  8. 政府は輸出産業として、また国家、地方、地域レベルを含めた経済的価値のあるものとして、教育に関するデータを正確に追跡するべきである。政府は二国間協定の交渉を行なうとき教育も貿易戦略として含めるべきである。

 

大学、カレッジ、学校への勧告

  1. 教育機関は、より多くの英国人が海外で学ぶことを支援するだけでなく、異なる留学生集団を持つことによる有利な点や利益を最大化することによって国際化戦略を強化するために、成功事例を教育界の中で共有するべきである。

 

企業への勧告

  1. 英国に関する留学生へのメッセージは、歓迎的で、明確、シンプル、かつ一貫性のあるものであるべきである。これらは政府や教育界と協力して企業が開発するべきである。
  2. 英国は、留学生の自国での就業機会を支援して英国のソフトパワー、研究、貿易を促進するような、また大学、企業、政府が一層同窓会活動に参画することを支援するような、留学生の卒業生や同窓会についての戦略を立てるべきである。留学生の長期に渡る就職状況の追跡活動は強化するべきである。
  3. 教育機関、地方自治体、地方企業は団結し、留学生を誘致し、留学生に備え、留学生を支援し、そして地元社会の中に留学生が溶け込むようにするべきである。

 

ExEdUK:Inquiry Report: A Sustainable future for international students in the UK

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