【ニュース・イギリス】英国大学協会、高等教育における人種差別的嫌がらせの緊急対策を求める

 
 2020年11月24 日、英国大学協会(UUK)は、高等教育における人種的不平等に対処する取組の一環として、人種差別的嫌がらせに断固として
取り組むことを目的とする新たな提言を発表した。

 
 当該提言は、2019年10月にUUKによって、招集された諮問グループの成果物であり、平等人権委員会(EHRC)が大学キャンパスにおける
人種差別的嫌がらせについて広範な証拠を明らかにした後、1年ほどで出された。

 
 East Anglia大学副総長のDavid Richardson教授が議長を務めるその諮問グループは、その分野の専門家から情報がもたらされ、人種差別的な
嫌がらせを経験した黒人、アジア人そして少数民族の学生や職員との徹底した協議が実施された。

 
当該提言には、大学のリーダーがすぐにでも実行できる、以下の実用的な手段が含まれている。

  • 人種差別的な嫌がらせに取り組むことに対して、優先度の高い立場であることを公的に表明すること
  • 人種差別的な嫌がらせを経験した学生や職員と直接関わりを持つこと
  • 現在の方針と手続きをレビューし、人種差別的な嫌がらせに取り組むための組織全体の新たな戦略を立てること
  • 人種差別反対教育を含む、差別、人種差別的嫌がらせ、白人の特権そしてマイクロアグレッション(※1)に対する認識と理解を
    向上させること
  • 違反に対する制裁と同様に、オンラインにおいて期待される行動が、学生及び職員に明確に伝えられていることを保証すること
  • 人種差別的嫌がらせ事案の報告システムを開発し、導入すること
  • 事案の報告データを収集し、定期的に幹部職員や運営組織に共有すること

 
 ガイダンスでは、大学のリーダーに対し、組織内のどこに課題があるのかということ及び英国の高等教育が組織内の差別を永続させていること
を認識するよう求めている。その証拠として、人種差別、最高幹部間における多様性の欠如、黒人、アジア人そして少数民族の学生の成績格差、
そして職員間における少数民族の賃金格差が引き合いに出されている。

 
 また、当該ガイダンスでは、白人の特権やアライシップ(※2)などに対する最高幹部と運営組織の認識を改善するための教育も提言する
とともに、もし学生、職員、卒業生そして現地パートナーを含む大学コミュニティ全体が積極的に関与し、変化に関して共同で責任を負うこと
が推奨されれば、人種差別に取り組む努力が成功することを明確にしている。

 
 人種差別に取り組む努力は、英国の社会及び文化のあらゆる場所だけでなく、地域のコミュニティにおける人種的不平等に取り組むための
大学によるより幅広い取組と密接に関連すべきである。


※1 マイクロアグレッション: 意図的か否かにかかわらず、政治的文化的に疎外された集団に対する何気ない日常の中で行われる言動に現れる
  偏見や差別に基づく見下しや侮辱、否定的な態度のこと(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
 
※2 アライシップ: 長年にわたって社会から差別・抑圧・疎外されてきた人(または人々)に対する支援(または支援者であること)
  (出典:英辞郎 on the WEB)


リファレンス: 英国大学協会(UUK)

地域 西欧
イギリス
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