【ニュース・イギリス】政府は分野別教育・学生成果評価の再考を迫られている

 
2019年2月25日、英国大学協会(Universities UK:UUK)は、教育・学生成果評価(Teaching Excellence and Student Outcomes Framework:TEF)の将来に関する独立見直しに対して報告書公表し、以下のような記事を掲載した。
 
UUKはTEFの将来に対する独立見直しに対して報告書を公表した。この報告書でUUKは、136大学の代表として、全体としてTEFは大学界に確実な影響があるが、この制度を改善するためにまだ取るべき手段が幾つかあるとしている。
 
特に、UUKは政府に対して、(学科レベル評価を)試験的に行なった89大学から持ち上がった課題を受けて学科レベル評価の計画を再検討することと、そして学生、大学及び納税者にとっての学科レベル評価の価値をもう一度見つめることを呼び掛けている。
 
報告書は、Dame Shirley Pearce が主導するTEFの独立見直し作業に寄せられたものである。その中でUUKは下記の通り結論付けている。
 

  • TEFは、教育・学習の戦略や成果測定の監視において高等教育界に影響を有しつつある。
  • しかし、教育・学習の経験や成果へのTEFの貢献についての明確な証拠を収集することは困難である。
  • TEFでの卓越性(Excellence)の定義は雇用の成果に大きく重点が置かれており、学生の総体的な学習経験や、学生や社会にとっての勉学や学習の幅広い利益の十分な考慮がなされていない。
  • 学生の間でのTEFの認識度はいまだ低く、一方でゆっくりとした断片的な(制度)変更が、TEFを学生にとって理解または効果的に利用するのには複雑なものとしている。
  • 政府、学生局(Office for Students:OfS)、学生、高等教育機関の戦略的な意思決定における利害関係が明確になるよう新しいガバナンス協定が設けられるべきである。
  • 試行的な学科レベル評価を1年間行なってきたが、これが学生に実体のある価値をもたらすものなのかどうかにはかなりの疑問がある。一方で、学科レベル評価は、学生を対象とする他の分野への投入資源を反らしてしまいうる重大な複雑さとコストを追加してしまっている。

 
UUKは、その実施方法の制限、資源面での影響、そして学生の意思決定への貢献の実際上の価値が十分に検討されるまでは、学科レベルTEF進められるべきではないと確信している。
 
UUKの推計では、TEFの2年目への参加することの費用は参加大学にとって400万ポンドとなっており、学科レベル評価が完全に実施されるようになった場合、その桁が大きく増えていくだろう。UUKは、学科レベル評価の狙いが合っているのかどうかについて、Unistats*、大学のウェブサイト、大学ランキングなどの既存のまたは代替的な情報源を通じ、さらなる検討が行われるよう呼び掛けている。この分野での一層の活動は、学科別TEFのリスクを見てゆくべきである。そのリスクには、データや評価基準の質や、学生が重要で複雑な決定をすることを助ける支援能力などを巡る懸念が含まれる。
 
*OfSや他の高等教育助成金配分機関が運営する、大学やカレッジの課程情報提供・比較サイト
 
UUK:Government urged to reconsider plans for subject-level TEF

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