【ニュース・イギリス】ONSの最新調査:生活費の危機が学生に与える影響

 
2023年2月24日、英国大学協会(University UK: UUK)は、英国国家統計局(Office for National Statistics: ONS)による最新のデータを伝えた。これはイングランドの学生に対して学事年度も半ばを過ぎた時点で、生活費の危機が学生に与える影響を調査するもので、学生たちは生活費、家賃の上昇に苦しんでおり、そのため多くの学生は大学を中途でやめることを検討していることが明らかになった。

 

  • 92%が1年前と比べて生活費が上昇したと回答している。
  • 10人に9人以上(91%)の学生は生活費の上昇に関し、「多少」もしくは「大変心配」していると回答。
  • 46%の学生はメンタルヘルスや心体の健康が2022年9月の秋季学期が開始して以来悪化していると回答した。
  • 4分の3以上(78%)の学生は生活費の上昇は自身の学業にも影響することを心配している。

 
この調査は、高等教育機関に在籍している学生の生活費の危機の影響を調べることが目的で、イングランド全国から合計1,965人の学生が参加した。

 
この調査は、2022年11月に実施された調査の追跡調査として行われた。140の大学を代表するUUKは登録大学とともにこの困難な時期によりよいサポートを学生に提供することを願い、この問題の規模を知り、より良く理解するために取り組んでいる。この調査は、University of Kentの学長であり総長でもあるKaren Cox教授の主導により、他のメンバーからの実施事項やヒントを共有している。

 
イングランド全土の大学は、学生が自身で財政的な問題に取り組んでいるにもかかわらず、財政に対する生活費の危機が学生に与える影響を軽減し様々な有効な支援をするため、すでに大変な努力をしている。University of Kent では、学生の家賃に対するサポートのため様々な支援を導入している。今学事年度から、大学は光熱費を含めた学生寮費を固定した。また、困難基金の利用、1日3ポンドの食券の発行、キャンパス内のフードバンクの利用を可能にした。

 
英国中の多くの大学は、最も弱い状態にある学生にあわせた支援を行っている。例えば、University of Greenwich では、1年生の学生は最大700ポンドの寮費の補助を受けられる。また、低所得の出身である学生に対して、交通費の値上がり補助として、年間最大で1,000ポンドの通学奨励金を出している。低所得の出身である学部生や大学院生に対しても、光熱費の支援として最大200ポンドまでの財政援助を行っている。

 
スコットランドのUniversity of Stirling では、養護施設出身者、家族からの支援を受けていない学生、家族の介護を行っている学生に対して、学費の援助のため追加年間奨学金、卒業式のガウンや、記念写真のため卒業奨学金へ申請することができる。大学に在籍している子持ちの学生は、保育や、一人親のための保育補助を受けることができる。また、大学は家賃補助のための家賃補助基金も提供している。

 
University of Sunderlandなど、他の北東部の大学では、養護施設出身の学生に対しての特別支援を協力して行っている。Northeast Raising Aspiration Partnership (NERAP)を通して、その地域の5つの大学(Durham, Newcastle、Northumbria、Sunderland、Teesside)は、養護施設出身の学生に対して、高等教育課程機関を通じて学生の支援を行っている。

 


Office on National Statistics:Cost of living and higher education students, England: 30 January to 13 February 2023
英国大学協会(University UK: UUK): Latest ONS survey reveals impact of cost-of-living crisis on university students


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
学生の経済的支援 学生向け奨学金
統計、データ 統計・データ