【ニュース・イギリス】欧州委員長、英・EU新協定は「朗報」

 
2023年2月27日、Research Professional Newsは英国首相が発表した北アイルランドの議定書をめぐるWindsor Framework に対して、欧州委員会委員長であるUrsula von der Leyer 氏は「歴史的な」協定はEUの科学プログラムへの参加の道を切り開く、と述べたことを伝えた。

 
von der Leyer氏は北アイルランドの合意が実施されれば、EU研究開発プログラムへの英国の参加が「すぐに」開始することができることを述べた。von der Leyer 氏のコメントは、英国首相であるRishi Sunak氏との共同記者会見において、北アイルランド貿易に関する協議の中で「決定的な進展」があったことを認めるものであった。

 
研究開発プログラムへの英国の参加は、北アイルランドの議定書に関する論争のため保留されており、英国でEUのホライズン・ヨーロッパの助成金を獲得した者は、直接その資金を利用することができない。EUの原子力研究構想であるEuratomや地球観測プログラムであるCopernicus への参加も保留となっている。しかし、同日に行われた記者会見で2人のトップは合意に至ったことを表明した。

 
英国の自由流動貿易

 
Sunak氏はこの合意を「進展」とし、von der Leyer 氏は「歴史的」と表現している。2人のトップは、医薬品の承認、商品への課税、EUの商品規則の変更に対する北アイルランド政府の「ブレーキ」などの問題を含む内容に対して原則的に合意した。

 
「我々はともにオリジナルの議定書を訂正し、新しく「Windsor Framework」として発表する。」とSunak氏は述べた。「本日の合意は、英国内の自由な流動的貿易を可能にし、北アイルランドの地位を守り、北アイルランドの人々のための主権を保護するものである。」Sunak氏はTwitter で「我々は医療品において大きな和解の進歩を実現した。これから、英国の医療品規制局で承認された医薬品は、自動的に北アイルランドのすべての薬局や病院で入手可能となった。」と述べた。

 
科学者にとって朗報

 
von der Leyer氏は「明確な意思と決意をもって、懸命な努力をしていかなければならないことはわかっているが、北アイルランドの人々やコミュニティのための現実的な解決策を見つけることを約束したので、可能であることも分かっている。」この合意に関して、英国のホライズン・ヨーロッパへの参加がどのような意味を示すのかという質問に対して、von der Leyer 氏は「EUや英国の科学者や研究者にとって朗報だ」と答えた。「この協定が合意に達した瞬間、つまり、原則的な協定が実施された瞬間は、ホライズン・ヨーロッパへの参加のための前提などの参加条件に関する取組をすぐに開始することは喜ばしいことである。研究や科学に携わっている全ての人々には朗報である。」と述べた。

 
von der Leyer氏のコメントは研究界に幅広く歓迎されるものであるが、EUの研究開発プログラムへの英国参加がEUの承認を受ける前に、EUと英国両方から承認され実施されるまで待つことになることを意味している。協定の詳細はまだ発表されておらず、Sunak氏は英国下院で投票を行う約束をした。「Windsor Frameworkが実施され次第、参加への過程に入る」というvon der Leyer氏のコメントに対して、英国王立協会(Royal Society)の会長であるAdrian Smith 氏は歓迎した。

 
「北アイルランドの議定書の行き詰まりが解決したので、我々はEUの国際研究プログラムへの参加の確保を速やかに行う必要がある。」と述べた。また「ホライズン・ヨーロッパ、Euratom、Copernicusの参加に合意してから2年以上もたっている。2年間の遅れはヨーロッパ全体の損失である。これらのプログラムは優秀な国際共同研究を支援しており、参加が早ければ早いほど、すべての人々に良い影響がある。」

 


Research Professional News:New UK-EU deal ‘good news’ for Horizon, says von der Leyen


地域 西欧、EU
イギリス
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