【ニュース・イギリス】 研究界が故英国女王に敬意を表す

 
2022年9月9日、Research Professional News は英国で最も長く君臨した女王の死後、学術界や大学が哀悼の意を伝えたことを報道した。英国女王エリザベス2世の死を受けて、研究や高等教育界などあらゆる分野から女王は在任中の70年間、大学の熱烈な支援者として「科学の偉大な進歩」を見届けてきたと追悼の意が寄せられた。9月8日午後にスコットランドのバルモラルで96歳で崩御された女王は、英国国内や海外からも哀悼の意と家族に対するお悔みが溢れ出た。

 
そのうち、女王を庇護者としていた有数の学会リーダーなど、英国の研究界のおける重要な人物も含まれていた。王立協会の会長である Adrian Smith 氏は、1957年の憲章の署名後60年以上も学会の貢献者であった女王の死に対して「深く悲しんでいる」と述べた。また「60年以上に渡り、私たちの後援者として、多くの英国の科学者は画期的な研究に貢献し、女王は偉大な科学の進歩を垣間見てきた。」

 
「陛下が300年記念式典と2010年の350年記念式典にご出席されたことは特に名誉なことであった。陛下の貢献は大いに惜しまれることであろう。」と述べた。英国学士院の Julia Black 氏も哀悼の意を述べ、「人文・社会学の分野に身を置くものにとって、女王は教育と我々の学問の熱心な後援者として記憶されることであろう。」「熱心な歴史学者であり、芸術や言語を愛したエリザベス女王は多くの学士院の会員を表彰し、我々の分野関係の無数の施設、博物館、研究機関を後援していただいた。女王が亡くなったことは本当に悲しいことである。」と述べた。

 
王立工学アカデミーの会長である Jim McDonald 氏によると、「女王は生涯を通して、工学、科学、技術の大きな変化を見てきており、いつも新しい開発に対して積極的に関心を示されていた。」

 
「英仏海峡トンネルから Diamond Light Source 研究所など多くのプロジェクト開設の際には訪問していただき、また君主として初めてEメールを送信した人物でもある。」「エリザベス女王は、その確固たる公共サービスを通じて、英国および世界の様々な世代にわたる人々から尊敬と愛情を得た。また、未来の工学研究者に対し、新しい世代を奮い立たせ、世界人類に恩恵をもたらすため、大胆で画期的な工学イノベーションを称える「エリザベス女王工学賞」という寛大にも本人の名前を利用することに許可をしていただいた。」また、医科学アカデミーの会長である Anne Johnson 氏は「同アカデミーは女王から授与された王室憲章と女王が我々の研究を評価していただいたことに感謝する。」と述べた。

 
大学への熱烈な後援者

 
高等教育界では、学長のグループである 英国大学協会(UUK)の会長の Steve West 氏は 女王の「卓越し、比類のない統治は国家と我々の大学に永続的な遺産を残すものとなった。」と述べた。

 
また、「女王陛下は大学の熱烈な後援者であり、教育は善を促進する力としていた。30年以上にわたる女王陛下記念賞の後援者として、学生、地域、経済、より広い社会のため高等・継続教育の影響や利益を称賛し、促進した。」

 
コモンウエル大学協会(ACU)での後援者としての役割などの例をとると、女王は、大学の役割は異なる国や文化の理解をするために築きあげるものとして世界のネットワークの重要性を認識されていらした。」と述べた。

 
ACU の広報担当者は「女王陛下の継続的な後援で、ACU は世界の大学で情報、知識やアイディアを共有する討論の場所を提供し、英連邦国内外の持続可能な発展に重要な貢献をしてくださった。」と述べた。研究集約型の大学グループであるラッセルグループの最高責任者である Tim Bradshaw 氏は、女王陛下を「人々から大変愛され、高く評価された公人」と表現した。「ラッセルグループを代表し、私の哀悼の意と残されたご家族のためのお悔やみとして、我々またこの国は深く敬意を払う。」と述べた。

 
英国物理学会英国王立生物学会英国王立化学会エジンバラ王立協会ウエールズ学会など、多くの組織、協会からもすぐに哀悼の意が表された。高等教育や科学に関心を持つ何人かの政治家も Twitter を利用して哀悼の意を発表した。前科学大臣である George Freeman 氏のメッセージには、女王は「職務、公職、公務、国家に対する献身の輝く光であった。」「女王の存在そのものが、模範的な精神であり、英国の最高を体現してきた。乱流の海の中で、英国という船を安定させ統一する海の錨であった。」と述べた。

 


Research Professional News: Research community pays tribute to the Queen


地域 西欧
イギリス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
その他 その他