【ニュース・イギリス】 政府は高等教育に関する中国の影響力を取り締まる

 
2022年9月14日、Imperial College London(ICL)で中国がスポンサーだった2つの主要な研究センターが閉鎖に追い込まれており、University Business は、英国高等教育の中国の関与の影響の広がりと国の後退に関して考察した。Guardian 紙によると、ICL はこの決断を自ら下したのではないという。その代わり、国際的な提携で慎重さが必要となる研究の共有に関して、監視をする政府の輸出管理共同ユニットによってライセンスの申請が拒否された。

 
閉鎖される予定の一つは、北京航空材料研究所(BIAM)と ICL の共同研究で、国有航空宇宙や防衛企業の子会社が次世代の航空機のフロントガラス、ジェットエンジンの部品、バッテリーを設計するプロジェクトに500万ポンド投資している。もう一つは、Avic (Aviation Industry Corporation of China) Centre for Structural Design and Manufacturing で、中国最大の民間および軍事航空サプライヤーから航空宇宙材料系の研究に600万ポンド以上の投資をしている。

 
一方、ICL は常にセンターの目的として民間の航空宇宙の技術向上に限定しているとの姿勢を維持していたが、中国の軍事目的の向上につながる可能性があると常々警告されていた。このライセンス申請の却下は、中国の欧米企業や機関における役割の不安が高まる中行われた。今年7月には M15 と FBI が、中国の経済スパイ、ハッキング、海外での反対意見を制圧する試みについて、これまでに前例のない共同声明を発表した。

 
FBI の長官である Christopher Wray 氏は「我々の経済や国家保障に最大で長期的な脅威を突き付けているのは中国政府であると常に認識しており、その「我々の」というのはヨーロッパとその他の同盟国と共に両方を意味している。」と語った。M15 の長官である Ken McCallum 氏は「防諜機関では4年前と比べて7倍も多く中国に関して調査を行っており、我々国民生活の多くの面で影響の出る様々な推論の試みに対応するため、さらに増やす予定」であるという。

 
McCallum 氏はまた、慎重さが必要となる学術研究の盗難を防ぐための手続きを強化した結果、過去3年間の間に50人の中国人留学生が英国から退去することを要求された。Guardian 紙は、ICL で閉鎖と決まった2つの機関と同様に、「過去3年間で別の5つの共同研究が打ち切られ、オーストラリアの戦略政策研究所による2019年の分析では、その5つのうち1つは「高リスク」であることを強調した。」と主張している。

 
親会社が新疆ウイグル自治区に配備したドローン機を支給した中国のミサイル製造会社である Calt が後援する ICL と University of Manchester の施設も含まれているという。政府の輸出管理ユニットは、2018年以降、中国と共同研究を行っている ICL からの3件と Manchester からの5件のライセンス申請を却下している。

 
中国の企業との共同提携の明らかな衰退を目撃しているのは、高等教育機関だけではないであろう。2019年からの状況の変化で最も注目度があった例として、当時首相であった Theresa May 氏が、中国の通信会社である Huawei は英国の 5G データネットワークの非中核部分を構築する可能性を発表した時である。1年後、国家サイバー・セキュリティー・センター(NCSC)の技術的見直しによって、Boris Johnson 政権は2027年までに英国の 5G ネットワークから Huawei を排除することを決定した。

 
2021年、ICL, Surrey, Cambridge, Southampton を含む35大学と提携を結んでおり、Bristol, Ipswich, Edinburgh, Cambridge の自社研究開発センターでも提携しているという。これらの大学や機関のウエブサイトで「中国」と検索すると、提携として多様なものが数十件のアーカイブとして検索できるであろう。肯定的に伝えているニュースの多くは歴史的であることも気に留めるであろう。

 
最近では、前大学担当大臣であった Jo Johnson 氏が2021年3月に政府に対して英国の大学における中国の役割に関して緊急に見直しをするように求めるなど、懐疑的な意図となる話もある。King’s College London の政策研究所と Harvard Kennedy school により、76ページからなる「China Question」を今月発表した。これは、中国からの留学生に大学収入を頼ることを減らすため研究費を増やすべきと主張している。

 
その中で、2010年以降、「中国は英国の教育や研究システムに深く入り込んでいる。」そして、「地政学的な緊張が高まると(中略)その反動の危機はいよいよ現実性を増すことになる。」と警告している。2021年3月には、Telegraph 紙は33の英国大学の科学者が中国の核兵器研究機関の研究者とプロジェクト研究を行ったことを発表している。

 
そして、今年6月、学生局(OfS) は、英国での留学生数が最も多い中国に依存しているため「特にある大学は」財政危機に陥ることを警告している。


University Business: government cracks down on chinese influence in he/

Guardian の記事: Imperial College to shut joint research ventures with Chinese defence firms


地域 西欧
イギリス、中国
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究