【ニュース・イギリス】 イングランドの大学:生活費補助金復活を求める

 
2022年9月8日、Guardian 紙によると、英国大学協会(UUK)の理事長である Steve West 氏 は、政府に対して高等教育助成金の新しいモデルを構築するよう求めたことを伝えた。大学の学長たちは、イングランドの学部生を対象とする生活費補助金の復活を求めている。それが受け入れられないのであれば、学生の心身の健康や教育に明確な影響が出ると警告している。University of West of England の学長でもある Steve West 氏は、レスターで開催された UUK の年次総会で、新内閣は「現在学生や職員たちが直面している生活費の危機に立ち向かう必要がある。現在、学生や職員に打撃を与えている。」と述べた。

 
UUK の理事長である West 氏は、今年、イングランドの学生に対する最大の生活費ローンは、全国の最低賃金額よりも1,000ポンド少なく、2004年以降最大の差となり、恵まれない環境の出身の学生にとって、高等教育がさらに手の届かないものとなる。ロンドン郊外の大学で自宅を出て生活をする学生の最大支援ローンは、現在、家庭の年収が25,000ポンドまでの場合、9,706ポンドである。一方、大学は「学生を支援するためにさらに強化」したが、West 氏は「緊急支援は長期的な支援の代替になるものではない。」と述べている。

 
「政府にも行動をしてもらう必要がある。今後数週間内に新内閣の閣僚やメンバーと話す機会では、我々は彼らの困難な資金のため政府資金の追加や最も必要としている学生のための生活費補助金の復活を求める予定である。」と West 氏は語った。「これが失敗となれば、教育の影響だけでなく、明確に健康や福祉の問題に発展していくであろう。」と述べた。

 
West 氏は、大学の指導者たちは、インフレで学費収入が目減りしている状態で、学生に教育を受けさせるため持続可能な財政が必要であることも述べた。「大学は少ない財政の中、より多くのことを行っている。我々は、給与や年金の費用の上昇、学習効果の強化のためのデジタル革新や、学生の需要に対応するための施設の近代化などに対してかなり投資をしてきた。また、学生のメンタルヘルス、心体の健康など需要に合わせて多額の投資を行ってきた。」

 
「もちろん、私は、政府には緊急で、差し迫っている支出の優先順位があることはわかっている。しかし、この問題に対して先に進むことが重要である。」と述べた。

 
UUK の次期最高責任者となる Vivienne Stern 氏は、集まった学長に対して、現在政策的な課題が「山積み」になっていることを語った。

 
「課題を一つ一つあげてもいいが、ただがっかりするだけでしょう。」と述べた。

 
Stern 氏は、財務省は大学に関して「特に心配していない」と警告し、新内閣の支出レビューは、研究予算において潜在的な危険をはらんでおり、特に EU の800億ポンドの研究プログラムであるホライズン・ヨーロッパへの参加の代替となる資金に関してリスクがあると述べた。

 
会議では、英国の大学に対する態度に関する新しい調査の結果が出た。2,000人以上の成人を対象に実施された意識調査では、大学に対する懸念が「特に念頭に置かれていない」ことがわかり、世間では学校に対する資金の欠如が心配されていることが分かった。この調査のため、フォーカスグループや世論調査を実施した BritainThinks の Holly Wicks 氏は、一般国民は「負債」という言葉が高等教育と最も関連している言葉であると述べた。2018年の初期の調査では「高価である」が最も認識される言葉であった。今回の調査では、61%の父兄は子供を高等教育に進学させることを勧めているが、2018年の66%から減少している。

 


Guardian紙: Universities call for return of maintenance grants for students in England


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
学生の経済的支援 学生向け奨学金