【ニュース・イギリス】大学入試機関(UCAS)、 「End of Cycle Report 2020」を発表(1)

 

 

2020 年12 月16 日、大学入試機関(UCAS) は、2020年の高等教育機関への進学者の最終結果等をとりまとめた「End of Cycle Report 2020」
を発表した。
 
当該報告書は、学生、特に恵まれない環境出身の学生に対するCovid-19の影響は、今年教育セクターが直面している最も大きな懸念事項の一つで
あるとしたが、国内がロックダウンとなったことによる学校閉鎖及びこれによる学習経験の巨大なばらつき にも関わらず、英国内の最も恵まれない
環境出身の学生が、2020 年はこれまでより、より多く高等教育に進学し、最も選りすぐりの大学や課程であっても同様の傾向であったとした。
 

当該報告書の主な洞察については以下の通りである。

  • 英国の18 歳の進学割合は2019 年の34.1% から過去最高の37.0% に上昇している。
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  • 41.5% の18歳が出願し、89.1%の合格率を記録し、すべてのPOLAR 4 (※1) グループで入学者が増えた結果となっている。
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  • UCASの MEM(※2) における平等であることの格差は狭くなり、最も恵まれた環境出身の学生(グループ5)は、最も恵まれない学生
    (グループ1)の4.23 倍、高等教育に入る可能性がより高く、2019 年の当該数値は4.40倍であった。2010 年からの格差は現在26.4%まで狭くなっている。
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  • POLAR4 の Q1 から29,020人の英国の学生、SIMD の Q1 から1,645 人のスコットランドの学生といった最も低い進学率のエリアからの
    18歳の学生の入学が記録的な数になっている。また、14,000 人のイングランドの18歳の入学者が無料の学校給食(FSM)を受けている。
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  • 経済が後退に入るにつれて、医者、医療専門職そしてNHSスタッフなどの技術の向上・再教育の需要を反映した成人した学生の受け入れが
    著しく増加している。成人した学生は、単年度の伸びとしては 2009 年以来最も大きい114,440人と著しく増えている。
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  • よりレベルの高い高等教育機関と医学の課程は、より多くの恵まれない環境出身の学生を受け入れ、イングランドの18歳の医学部への出願者のMEM の入学割合は小さくなっている。それにもかかわらず格差は依然として残ったままである。恵まれた環境出身の学生は、恵まれない環境出身の学生の25 倍近く、医学の課程に入学する可能性がより高くなっている。
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  • 障害、メンタルヘルスの状態または特殊な学習障害を抱えていることを打ち明けた学生が、高等教育に記録的な数で受け入れられている。
    英国の出願者の4% 近くが現在、願書でメンタルヘルスの状態を知らせている。2020 年に受け入れられた学生でこれを打ち明けた者は 10.4% 増加している。
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  • ロンドンを拠点としている18歳の49.1% が高等教育に進学しているが、イングランドの南西部での当該数値が32.4% であることと比較する
    と、高等教育への進学の地域格差は存在する。

 

 
※1  POLAR(Participation Of Local Areas):英国全土で若者がどれだけ高等教育に進んでいるかを見て、またそれが地域ごとにどう違うか
を示す統計。各地域で高等教育に進んだ18―19歳の人口に基づき、各地域を5段階に分けたもの。「POLAR4」はこのデータのもっとも最近の
バージョン。なお SIMD はスコットランドにおける当該統計。

 
※2  Multiple Equality Measure(MEM):性別、民族グループ、中等教育の学校の種類、無料の学校給食の支給などのデータを基に平等で
あることを測るUCASの主要な基準。

 


大学入試機関 (UCAS): NCUB’s State of the Relationship Report 2020


地域 西欧
イギリス
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統計、データ 統計・データ