【ニュース・イギリス】UKRIの外に新たな資金提供機関設置か

 
2020年2月5日、高等教育専門雑誌の THE Higher Education は、新しい研究助成機関の在り方に関する議論においてその方向性や指導に関して問題
がないと提案している。現在の UK リサーチ・イノベーション(UKRI)とは別に設置することが構想されている、ジョンソン首相の上級顧問である
Dominic Cummings 氏が提案するこのハイリスク、ハイリターンの研究助成機関の設置に関する議論では事実上勝利を得たが、まだまだ核心を衝く
質問はされていない。

 
UKRI はこの新しい機関の創設者および監督になることに興味を示している。しかし本構想の計画者である Cummings 氏は、米国の国防高等研究局(DARPA) と同様に、UKRI には属さないことを強調している。

 
元大学・科学担当大臣である Jo Johnson 氏は、シンクタンク Policy Exchange が発表した随想集において新しい機関に関して議論を展開しており、
研究システムの戦略監視役としての立場を維持するため UKRI 内に設置するべきだと述べている。

 
2018年4月1日に成立した UKRI は、高等教育研究法によって Johnson 氏が作り上げ、7つの研究会議に Innovate UK と Research England を
加えて構成されている。

 
Johnson 氏は記述のなかで「もし UKRI 外に設けた場合、この機関は、まだ開発途上である英国における研究・イノベーションの成功したファンド
の核である本質を粉々にする危険がある。高等研究計画局(ARPA)として知られているこの機関を独立機関とするかもしくは UKRI 内に置くかいずれにしても、根拠となる立法が必要とされる。しかし後者の方であればかなり簡単な工程で済む。」と述べている。

 
しかし、中には既に独立機関として成立することが決まっていると指摘する人もいる。なお、UKRI の外か内かという議論は重要ではなく、その新機関の誰がトップに立つか、どの程度早く設立できるかなどの質問にはまだ触れていない。

 
DARPA は1958年に米国政府によって設立されたインターネットの先駆者である。(しばらくの間インターネットでは Arpa と呼ばれていた)  Cummings 氏はしばしばこの機関に対して称賛を示している。2014年12月に「我々はエネルギー科学や量子情報や明らかに世界を変えるようなコンピュータなどの主要分野で高リスク/高影響で革新的な民間版の DARPA を設立するべきである。」と述べている。

 
科学の革新を推進する Cummings 氏の構想はまさに彼のブレクジット後の英国経済の構想の中心であり、彼の WhatsApp では “Get Brexit done, then Arpa” と表示されている。

 
この機関の5年間の予算は8億ポンドである。

 
University of Sheffield の教授である James Wilsdon 氏は Johnson 氏 の意見に賛同しており「Arpa は UKRI 内に置くべきだ」と言っている。
「そうでなければ独立機関としてArpaを設立しようとする Cummings 氏の希望は、現存の英国政府の構造内で混乱を起こし、機能しなくなる
からだ。」と Wilsdon 氏はいう。

 
「政府内外の上層部が UKRI ではその機能を果たす可能性を持っていないと考えていることが理解できない。これは時期尚早の決断と感じる。」と述べている。研究政策の主要な問題は、現大学・科学担当大臣である Chris Skidmore 氏が将来行われるであろう組閣で再び同大臣の座に戻ってくるかである。

 
「現在はっきりしていることは、様々な意味で Cummings 氏はパートタイム科学大臣である。そのため、UKRI の最高顧問、科学担当大臣、
そして、首相も含めて意思決定の中心がライバル同士でされていることにいささか不快感を覚える。」

 


THE WORLD UNIVERSITY RANKINGS: Cummings ‘winning battle’ for new Arpa to be outside UKRI


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