【ニュース・イギリス】英国-EUの対立により欧州の地球観測プログラム、コペルニクスプログラムは7億5000万ユーロの不足

 
2021年12月2日、Science Business は EU の地球観測プログラムであるコペルニクスは英国からの支援がブロックされた場合、大きな資金不足に陥ることを伝えた。

 
欧州宇宙機関(ESA)の事務局長である Josef Aschbacher 氏は英国がEUの研究プログラムに参加できるかどうかの騒動により、地球観測プログラムであるコペルニクスが7億5,000万ユーロの不足で存続の危機に直面していることを警告した。

 
同氏は欧州議会の産業研究宇宙委員会において、「コペルニクスはヨーロッパにおいて最優先課題であることはよく理解、同意されていると考えており、次の段階に継続する必要があることは全員の知るところである。よって、7億5,000万ユーロの資金不足の解決策を見つけなくてはならない。」とも述べている。

 
コペルニクスへの資金提供は、ホライズン・ヨーロッパへの英国の参加と同様に、北アイルランドの議定書に関する議論が原因で阻止されている。英国のコペルニクスへの参加はEUと英国の EU 離脱後の貿易・協力協定で合意されているが、政治的な緊張が高まり、北アイルランドの議定書に関する議論が「人質」とされている状況である。そのため、現在、将来の地球観測プログラムは中途半端な状態となっている。Aschbacher 氏は「資金提供はコペルニクスプログラム実施中におこなわれないであろう。」と述べている。

 
英国は今週、ホライズン・ヨーロッパに対して安全策を発表し、EUとの助成金合意に署名ができない英国拠点の研究者たちに対して、英国政府がそのプロジェクトの資金を提供することを保証した。

 
Aschbacher 氏は、コペルニクスの資金はEU予算の中で何とか見つけることが可能であると考えている。これは2007年に EU が農業資金から24億ユーロを地球測位衛星システム「ガリレオ」に持ってきていることを念頭においている。「当時はガリレオの存続の危機に関わる問題であったが、そのおかげで、ガリレオは世界のトップのプログラムとなった。」と欧州議会議員に対して語った。

 
しかし現在のところ時間稼ぎが選択肢として有効なようだ。今後6年間のために、コペルニクスはすでに58億ユーロをEU宇宙プログラムから提供されている。

 
コペルニクスは EU の宇宙ブログラムで英国が参加することを決定している唯一のプログラムである。

 
欧州委員会と ESA は、2027年までコペルニクスの資金を提供してくれる代替手段を真剣に検討している。「様々なオプションなどを検討しているが、最終的には資金源を見つける必要があることは明らかである。もし今日見つからなくても、願わくは将来に。まだ解決策には至っていないが、すべてに関して熱意をもって真剣に取り組んでいる。」と Aschbacher 氏は欧州議会議員に対して語った。

 


Science Business: UK-EU row may leave Copernicus €750M short


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