2021年2月25日、学生局(OfS)は、コロナ禍における高等教育のデジタル教育と学習への移行についてレビューした報告書「Gravity assist:
propelling higher education towards a brighter future」を発表し、高等教育機関は、デジタル教育と学習の長期的な利点を実現するために
講師のトレーニングと支援を強化する必要があると述べた。
新たな調査では、コロナ禍の間、デジタル教育を計画し届けることができたかどうかについて、「とても自信がある」と答えた講師はたった21%
に過ぎず、59%が「まあまあ自信がある」、18%が「自信がない」との回答であったことが示された。
上記と対照的に、49%の学生が、オンライン学習から恩恵を受けるスキルを持っているかどうかについて、「とても自信がある」と答え、42%は
「やや自信がある」と答えた。
当該調査結果は、OfS の局長である Michael Barber 卿が主導したコロナ禍におけるデジタル教育と学習についての報告書によりもたらされた。
当該報告書はデジタル教育と学習は、ただの緊急避難措置的なものではなく、高等教育全体において長期にわたる重要な改善をもたらす可能性
があると主張している。
YouGov が536人の教育スタッフを対象に行った調査では、3分の1以上(36%)が、デジタルで教育をする間、技術的支援が利用できなかったと
報告したことがわかった。1,285人の学生を対象に行った調査では、24%の学生が学習している間、技術的支援が不足していたと答えた。さらに
23%の講師が教育と学習を届けるための適切なスキルが不足していたとし、15%の学生が学習している間、適切なスキルが不足していたと答えた。
当該報告書は、コロナ禍においてデジタル教育に移行した主な授業に関するレビューを行っている。これによると、次の学事年度の始まる前に学生
に提供するデジタル教育と学習について即座に改善するために、高等教育機関が倣うことができる以下の6つのステップを提案している。
- マンツーマン方式で学生のデジタル環境へのアクセスを評価するとともに、学習が喪失される前に障壁を取り除くこと
- 課程に参加するために学生が必要となるデジタルスキルを新入生と学習に戻ってきた学生に伝えること
- 教育と学習を計画する際、学生の声を取り入れること
- 教育を効果的に行うための適切なスキルとリソースをスタッフに身に付けさせること
- すべての学生にとってデジタル環境を安全なものにすること
- 長期間にわたるデジタル教育と学習によってもたらされる影響などをどのように受け入れるか計画すること
当該報告書はデジタル教育と学習における長期的な約束を果たすため以下について提言している。
- オンライン学習は、伝統的な講義や指導を単純に再現するものではないということが極めて重要である-それはデジタル配信に適切に順応
しなければならない。 - 高等教育機関は、これらの機会を最大限活用するために今、計画を開始するととともに、今学期の学習が喪失されないように保証すべき
である。 - デジタルに介在する障壁を乗り越えることは不可欠である-もし学生がそれにアクセスする機器もスキルも持っていなければ、学生は
オンライン学習の恩恵を受けられなくなる。 - デジタル教育と学習は、それ自体、アクセスの改善において急速な進歩をもたらす可能性がある-例えば、普通の学生よりも年齢が高い
成人の学生や障害を持つ学生に与えるさらなる柔軟性などである。 - 継続的な改善を奨励することにより、デジタルスキルを開発するスタッフを支援するべきである。
- 高等教育機関には、質の高い高等教育を海外で促進するとともに、新たな世代の留学生を引き込む機会がある。
当該報告書は、コロナ禍の間の学生の経験を示し、高等教育機関がデジタル教育と学習を短期及び長期で改善する手助けとなる実践的な提言も
提示している。当該報告書の調査により以下のことがわかっている。
- 28%の学生が、コロナ禍が終わった場合、もっぱら対面での評価に戻りたいと考えている-32%の学生が、オンラインで評価されることを
好み、28%の学生がデジタルと対面の方法の組み合わせで評価されることを好んでいる。 - 48%の学生は、デジタル教育においてフィードバックを求められなかったと答えている。
- 56%の学生は、受講したデジタル教育について、在籍する高等教育機関が学生が受けるであろうと述べた内容より良かった、もしくは
それに従っていたと答えた。 - 70%のスタッフは、デジタル教育と学習が、新しくかつ刺激的な方法で教育する機会を提供することに同意した。
なお、当該報告書には、高等教育機関がコロナ禍の間、いかに革新的な教育と学習を利用しているか、そして学生がいかに対応したかについて、
複数の大学のケーススタディも含まれている。
学生局(OfS): Students more confident with online learning than lecturers are about teaching digitally
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