【ニュース・イギリス】高等技術教育における「急速な衰退」、取り戻しが必要

 
2022年4月27日、University Business は 生涯教育委員会(LEC)の新しい報告書で、高等技術教育の支援は「技能革命」を起こす最優先課題であるべきであると伝えた。

 
同日、LEC によって発表された報告書では、英国の高等技術教育における「急速な衰退」を覆すためのいくつかの提言が挙げられている。

 
報告書「The Future of Higher Technical Education in England : Expanding Opportunity for All」によると、高等技術教育(HTE)コースへの入学率は、過去5年の間に25%減少したのに対して、学位取得者が8%増加している。

 
政府がレベリング・アップの計画を進めるためにも、結果として生じるスキルの格差に対応することが大変重要であると LEC は主張している。

 
LEC の委員長で元大学大臣であった Chris Skidmore 氏は、「高等技術教育は豊富で誇れる伝統があるにもかかわらず、教育界では見落とされていることがあまりにも多い。」

 
「1990年代の専門学校の減少は、高等教育の爆発的な増加につながったが、イングランドの学習者の大部分が、急速に変化する経済に適応するために必要なスキルを学ぶことができないままになってしまった。」と述べた。

 
政府のレベリング・アップ白書や、18歳以降の教育の最大4年間の資金に対し生涯ローン資格の資金提供をする等の16歳以降の教育法案の要素は歓迎できるが、「提携方法の欠如」がその効果を薄める可能性があると報告書の著者は主張している。

 
LEC の調査を支援した University of Salford の学長である Helen Marshall 教授は、「高等技術教育の普及拡大は、主要分野のスキル格差を埋め、経済成長を促進し、国全体の機会を均等にするためには不可欠である。しかしこれには障壁がある。」

 
「高等技術教育とは何であるのか、またなぜ価値があるのかについて、学生・教師・雇用者の間での理解が不足しており、他の高等教育と比べる場合、これらのコースの評判が低いという誤った認識がある。」と述べた。

 
Marshall 教授の主張は、18歳以降の技術教育制度は学習者・雇用者・世間一般の人々から地位と評判を失っていると述べている、Augar レポートを反映している。

 
この問題に対して、この報告書では HTE 改革に関する提言をしており、政府に対して下記の要望を挙げている。

  • 技能系機関(IoTs) が独自のキャンペーンを行うための資金を提供し、地域経済や社会的状況に関する知識を活用することができるようにHTEの推進を助ける。
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  • 16歳から18歳の学習者を対象としたものとスキルアップおよび新しいスキルの取得を考えている雇用者と経験豊富な労働者を対象とした、2種類の HTE の全国的なキャンペーンを行う。
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  • 地域経済の専門的な支援により効果をもたらしていることを実証できる IoT に対して、さらなる資金提供を約束する。
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  • HTE の学生に対して学位コースの学生と同様に柔軟な生涯ローン資格を提供する。
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  • HTE の学生に対して生活費の支援が利用できるようにする。
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  • 16歳以降の高等技術教育のため、全ての年齢層に対して進路の選択・情報・アドバイス・ガイダンスに関して改善をする。

「高等技術教育の強化は、英国での「技能革命」を起こすという政府の計画の最優先事項であるべきだ。」

 
「このための法的な枠組みは技能・16歳以降の教育法案ですでに定められている。しかし、このような絶好の機会を最大限活用するには、政策立案者が正しい方法を取らなければならない。」と Skidmore 氏は述べた。

 


University Business: ‘Rapid decline’ in higher technical education must be reversed – report

Lifelong Education Commission: The Future of Higher Technical Education in England: Expanding Opportunity for All


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育、質の保証
学生の経済的支援 学生向け奨学金