【ニュース・イギリス】大学は価値の低い学位の問題への対処を促進する

 
2022年1月17日、英国大学協会(UUK)学生や幅広い社会に対して、大学のコースの価値を評価する以下の新しい制度を発表した。

  • 学生や幅広い社会に対して、大学のコースの価値を評価する新しい制度。
  • 評価のため開発された指標は教育、評価、フィードバック、学術的支援に対する学生の満足度とともに、卒業後の就職率、経済成長への貢献、社会と環境に対する影響が含まれている。
  • 来年のこの時期には、学生はイングランドの大学ウエブサイトで毎年どのようにコースの価値を評価しているか、などの詳細を閲覧することができるようになる。

 
UUK はイングランドの大学が、学生に対して目的としている質の高い教育を与えることができかなった大学を特定し、改善するための新しい制度を発表した。

 
大学ではコースを監督しているが、価値の評価をすることは困難で主観的なものになる可能性がある。新しい制度では原則やガイダンスに加え、イングランドの大学の年次のコースレビューの中で学生と卒業生のコースの見解、学生の成果、卒業生の将来性など、評価する主要な指標を定める。進級や学位号取得、卒業生の就職などとともに、卒業生の観点からのキャリア進展なども含まれる。

 
新しい制度によって、高等教育の幅広い価値や、英国全体の生活水準を上げ、改善する機会、スキルの提供、国や地域の経済成長の支援、社会的責任の貢献などを含む、英国内の優先事項にどのように貢献するかを認識することで、高等教育機関はどのようにコースの影響を最大化するか検討することができる。

 
大学は自身のコースが高成長産業、ビジネス創出、地域で必要なスキルにいかに貢献するか、またNHSや環境活動など、卒業生が関わっている公共サービスにどのように貢献するか検討することが奨励される。

 
この制度はまた透明性と一貫性も取り入れるようになっており、イングランドの大学は2023年の初頭までに自身を調査・評価し、価値の低いコースに対する措置に関して、ウエブサイトで公開することが求められる。

 
英国大学協会(UUK)
 1.  Universities step up efforts to tackle low value degrees

 2.  Framework for programme reviews: ensuring the value of courses

 
参考記事

2022年1月13日 University Business : Review low-value degrees by start of 2023, UUK recommends

 
UUK によって提案された主要な基準

 
学生と卒業生

  1. 学生の満足度:学生のコースにおける教育、評価、フィードバック、学術における支援に対する学生の満足度の割合。
  2. 学生の期待に応える:多様な学生の視点を反映するため、高等教育機関に進学する学生からの期待と結果を比較。

 
学生の成績

  1. 学業の継続:学事年度入学当初、翌年の進級、学位取得、および他の高等教育機関に転校した学生の割合。
  2. 学位取得:大学に入学し、学位を取得し卒業すると予想される学生の割合。
  3. 付加価値・学習成果:学位取得時の成績と入学時の成績の比較をするやり方。つまり学習成果もしくは付加価値。

 
卒業生の将来性

  1. 高技能雇用:卒業生の高技能雇用もしくは資格取得後(卒業後)の進学の割合。
  2. 卒業生の失業率:失業を経験した卒業生の割合。
  3. 卒業生の視点によるキャリアのステップアップ:現在の仕事に意義を感じている、現在の仕事が将来の計画にあっているか、学生時に学んだことが活かせているかの割合。

 
UUK によって提案された状況指標
 

(1) 経済成長への支援

  1. 高成長の分野への雇用:特に国内の経済成長が低い地域にある、高成長分野の卒業生の雇用の割合。
  2. 革新的な分野での雇用:イノベーションが高い産業やビジネスに従事する卒業生の割合。
  3. 低成長地域における高い技能が必要とされる雇用:低成長地域で専門職に従事する卒業生の割合。
  4. 地方での雇用や大学院などへの進学:地方での雇用もしくは大学院に留まった卒業生の割合。
  5. 起業家精神:3年以上経営されている事業を立ち上げた、もしくは所有している卒業生の割合。

 
(2) 社会的責任

  1. 付加価値・社会的流動性:社会的流動インデックスを利用し、高等教育機関やコースの付加価値の貢献度を調べる。
  2. 主要な学位取得の格差:対象となるグループ間の学位取得の格差。
  3. 公衆衛生、社会福祉の専門職へ就職:医療、看護、助産、その他健康、社会福祉の専門職に就職した学生の割合。
  4. 教職:教職についた学生の割合。

 
(3) 大学の使命と戦略

  1. 使命重視の価値:コースが大学の使命と戦略に沿っているかを示す指標。

 


University Business : Review low-value degrees by start of 2023, UUK recommends


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育、質の保証
人材育成 学生の就職