【ニュース・アメリカ】NSF助成の下で作成された白書、米国の生物学多様性所蔵物のデジタル化保存を提案

 
2019年4月4日に発表された、米国科学財団(National Science Foundation:NSF)助成の下で作成された白書「研究・教育促進を目的とした米国生物多様性所蔵物の拡大(Extending U.S. Biodiversity Collections to Promote Research and Education)」は、米国の博物館などで保存されている動植物や化石などの所蔵物に関し、様々な角度からデジタル画像を撮影して包括的データベースを作成するための取り組みを開始すべきと強く提案している。
 
NSFは、過去8年間に亘り、コスト1億ドルの10年プログラム「生物多様性所蔵物デジタル化振興(Advancing Digitization of Biodiversity Collections)」を支援しており、これまでに約6,200万ドルを拠出して、具体的な研究に合わせた動植物サンプルの様々な角度からのデジタル画像を撮影・保存している。
 
但し、この取り組みには数十年を擁し、コストは総額5億ドル程度となる可能性があるうえ、政策決定者から支持される保証がないことから、博物館関係者の中には消極的な声もある。
 
一方、1993年にマウスを媒体とするハンタウイルス感染が大流行した際に、公衆衛生研究及び自然誌研究に使用した哺乳類を保管して、サンプルをデジタル化して保存してきたニューメキシコ大学(University of New Mexico)南西部生物学博物館(Museum of Southwestern Biology)は、デジタル化されたデータを有効に活用しているという。
 
NSFは、デジタル化振興プログラムが2021年に終了することから、次の対策を計画するイニシアティブ「生物多様性所蔵物ネットワーク(Biodiversity Collections Network)」を立ち上げ、サンプルのデジタル化保存の対象を小規模の所蔵物に拡大し、標準化・更新可能なシステム開発を提案している。
 
2019年4月4日
 
Science:Report urges massive digitization of museum collections
 

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