政府説明責任局（Government Accountability Office：GAO）は2019年4月4日、2007年に施行された米国競争法（America COMPETES Act）の下で、連邦科学研究の公正性強化に向けた対策を講じることを大統領府科学技術政策局（Office of Science and Technology Policy）に義務付けたことを受けてOSTPが2010年に連邦省庁向けに作成した指針に関し、各省庁による科学的公正性に関する政策及び実行のための対策の現状を検証した報告書「科学的公正性政策　～さらなる対策により連邦研究の公正性強化が可能～（Scientific Integrity Policies: Additional Actions Could Strengthen Integrity of Federal Research）」を発表した。
 
GAOは、

1. ①農務省農業研究サービス（Agricultural Research Service：ARS）、
2. ②環境保護庁（Environmental Protection Agency：EPA）、
3. ③連邦航空局（Federal Aviation Administration：FAA）、
4. ④エネルギー省化石エネルギー局（Office of Fossil Energy：FE）、
5. ⑤国立衛生研究所（National Institutes of Health：NIH）、
6. ⑥米航空宇宙局（National Aeronautics and Space Administration：NASA）、
7. ⑦米国標準技術局（National Institute of Standards and Technology）、
8. ⑧米国海洋大気庁（National Oceanic and Atmospheric Administration：NOAA）、
9. ⑨米国地質調査所（U.S. Geological Survey：USGS）、

の9省庁に関し、各省庁における

1. 科学的公正性政策の目標達成に向けた対策、
2. 科学的公正性政策に対する違反の疑いの特定・対応に向けた手順、

の2点を検証した。
 
1.に関しては、これら9省庁は「職員教育」「監視」「実施状況の監督・評価」の3分野における科学的公正性政策目標達成のために様々な対策を講じているが、「職員教育」分野ではFEとNISTが対策を講じておらず、「監視」分野ではFEが監視担当者を指名しておらず、「実施状況の監督・評価」分野ではFE、FAA、NIST、NOAA、及び、USGSにおいて実施状況管理のための対策が講じていないことが判明した。
 
また、2.に関しては、FEとNASAが違反の疑いの特定・対応に向けた手順の文書化が行っていないことが明らかになった。
 
これらの結果を受け、GAOは6省庁に対し、具体的問題に対応するための提案事項10項目を提示し、いずれの省庁もこれに同意して対策を講じている。
 
なお、本報告書は、「SCIENTIFIC INTEGRITY POLICIES」（PDF：2.10MB）からダウンロード可能。
 
2019年4月4日
 
Government Accountability Office：Scientific Integrity Policies: Additional Actions Could Strengthen Integrity of Federal Research