【ニュース・アメリカ】NSF、生物科学局で2012年から導入した助成受給研究提案書提出に制限を設けたパイロットプログラムを終了

 
米国科学財団(National Science Foundation:NSF)は、生物科学局(Directorate for Biological Sciences)内の環境生物学部門(Division of Environmental Biology:DEB)及び統合生物システム部門(Division of Integrative Organismal Systems)の2部門が実施していた、研究者が提出できる提案書を年間2件に制限し、提出は年2回ではなく1回として、審査過程の第1段階として4ページの提案書を提出することを定めたパイロットプロジェクトを終了することを明らかにした。
 
本プロジェクトは、NSF職員による作業負担を軽減し、審査の質を改善して提案書採択率を高めることを目指して導入されたものであった。2016年に、NSFから委託を受けた民間コンサル企業が同パイロットプロジェクトによる影響の分析を行ったところ、NSF助成への応募者約2,500人を対象とした調査から、年1回の締切が科学者の間で非常に不評で、4ページの提案書では考えが十分に表現できないと感じていることが判明していた。
 
このためNSFは、特定の種類の提案書提出を妨げたり、若手科学者などといった特定のグループに対し、不均衡な影響を及ぼす可能性があるとの懸念を抱くようになった。
 
また、同パイロットプロジェクトを導入した2つの部門において、提案書提出数が導入前と比較してDEBでは96%増、IOSでは56%増と、変更による影響に大きな差があることが判明し、作業負担に与える影響を評価することが困難となったという。このため、NSF生物科学局ディレクターのジェームズ・オールズ(James Olds)氏は、2017年10月5日付で科学コミュニティに書簡を送付し、提出回数及び提案書の長さを制限しないという規則を、DEB、IOS、及び、分子・細胞生物科学(Molecular and Cellular Biosciences:MCB)の3部門に適用させることを通達した。
 
なお、分析結果をまとめた報告書は、「Evaluation of the NSF DEB and IOS Switch to Preliminary Proposal Review: Final Report」[PDF:1.49MB]からダウンロード可能。
 
また、オールズ氏による書簡は、「Dear Colleague Letter: Implementation of “No-Deadline,” Full-proposal Submission Process for Most Programs in the Directorate for Biological Sciences」から閲覧可能。
 
2017年10月11日
 
Science:NSF drops preproposals, deadlines for biologists seeking funding
 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
レポート 海外センター
研究支援 研究助成・ファンディング