【ニュース・アメリカ】GAO、NIHによるキャリア初期・マイノリティ・女性生物医学研究者への支援強化のための対策の必要性を指摘

2018年8月10日、政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)によるキャリア初期及びマイノリティ・女性生物医学研究者に対する支援を検証した報告書「NIH研究~人材多様性戦略目標の到達を確保するための対策が必要~(NIH Research:Action Needed to Ensure Workforce Diversity Strategic Goals Are Achieved)」を発表した。

 

GAOは、2013年度~2017年度のNIH助成に関するデータを基にキャリア段階及び人口統計学的立場別に分析した他、関連法及びNIH政策・プログラムの検証や、NIH職員・ステークホルダーとの面談などを行った。その結果、大規模なNIH助成を受給した外部研究者の大半は、過去に助成受給経験のある研究者であったことが判明したという。

 

NIHは、2016年12月に制定された「21世紀治療法(21st Century Cures Act)」の下で、大規模助成を受給したことのないキャリア初期研究者と、キャリア初期研究者として最初に大規模助成を受給してから10年以内の中堅研究者に重点を置いたイニシアティブを、2017年8月に立ち上げている。

 

また、人種・民族的マイノリティグループに属する生物医学研究者に対する支援に関しては、2017年に助成を受給した研究者のうち、アフリカ系、米国・アラスカ先住民、ハワイ・太平洋諸島先住民の合計が17%で、ヒスパニック・ラテン系24%、アジア系24%、白人27%であった。
一方、女性研究者に対する支援は、生物科学博士号保有者の約半数が女性であるにもかかわらず、NIH内部のテニュア研究者全体の中で女性の占める割合は、約25%程度となっている。

 

NIHは、最高科学人材多様性責任者職を新たに配置し、マイノリティ研究者の拡大・支援計画を含む戦略的人材多様性計画を策定するなど、改善に向けた対策を講じているものの、進捗状況を評価するための定量的基準、詳細、時間枠などはまだ設定されていない。これらの結果を受け、GAOはNIH長官に対し、科学人材の多様化への取り組みを評価するための定量的基準・詳細・時間枠を設定するよう提案した。NIHの管轄省庁である厚生省(Department of Health and Human Services:HHS)は、これに同意している。

 

Government Accountability Office:NIH Research:Action Needed to Ensure Workforce Diversity Strategic Goals Are Achieved(報告書PDFあり)

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
人材育成 研究人材の多様性