【ニュース・アメリカ】GAO、連邦学資ローンの「収入に基づく返済」プラン利用申請者が提供する収入・家族の人数に関する情報確認強化を提案(7月25日)

政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は7月25日、教育省(Department of Education)が管理する連邦学資ローンの「収入に基づく返済(Income-Driven Repayment:IDR)」プランの現状を検証した報告書「連邦学資ローン ~教育省は収入に基づく返済プランを申請するローン利用者の情報を確認する必要あり~(Federal Student Loans: Education Needs to Verify Borrowers’ Information for Income-Driven Repayment Plans)」を発表した。
 
2018年9月時点で、連邦直接ローンの負債総額8億5,900万ドルの約半分は、IDRプランの下で返済が行われていることから、GAOは、教育省が2016年1月1日~2017年9月30日の間にIDRプランの下での返済を許可したローン利用者のデータを入手し、①ローン利用者が提供した収入及び家族の人数に関する不正・誤りの可能性、②教育省が提出された情報を確認する程度、の2点を検証した。
 
その結果、①に関しては、IDRプランを利用する約9万5,100人は、学資ローン返済を行うに十分な収入があると見られるにもかかわらず、収入ゼロと申告していることが判明した。GAOの分析によると、IDRプラン利用者の34%は年収4万5,000ドル超と推測され、中には10万ドル以上の年収の者も含まれるという。また、家族の人数に関しては、約4万900人が9人以上と申告してIDRプランが承認されており、このうち約1,200人は家族の人数16人以上、2人は93人としていることが判明した。
 
これらはいずれも不正もしくは誤りの可能性があり、GAOはさらなる調査を実施するために、当該事例を教育省に通達した。一方、②に関しては、教育省によるローン利用者の収入・家族の人数確認プロセスが不十分であるために、不正・誤りを発見する能力が限定されていることが判明した。
 

GAOは、教育省が、データの照合や分析を追跡調査と組み合わせることにより、不正及び誤った情報に基づく返済月額の算出を行うリスクが軽減されると指摘している。これらの結果を受け、GAOは教育省に対し、

  1. IDRプラン申込手続で収入ゼロと申告した者の収入情報を確認するためのデータを入手
  2. 収入ゼロと申告した者のデータ分析と追跡調査を実施
  3. ローン利用者の家族の人数を確認するためにデータ分析と追跡調査を実施

の3点を提案した。教育省は、これらの提案事項に同意している。
 
なお、本報告書は、こちらからダウンロード可能。
 

Government Accountability Office:  
Federal Student Loans: Education Needs to Verify Borrowers’ Information for Income-Driven Repayment Plans

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