【ニュース・アメリカ】FCCによる「ネットの中立性」廃止決定、高等教育コミュニティでは悪影響を懸念

 
連邦通信委員会(Federal Communications Commission:FCC)は2017年12月14日、オバマ政権下で制定された、全てのオンライン・トラフィックを平等に取り扱うことをインターネットサービス提供企業に義務付けた規則を廃止した。
 
この動きは、コムキャスト社(Comcast)やタイム・ワーナー・ケーブル社(Time Warner Cable)などといった、大手企業に有利な変更と受け止められている。「ネットの中立性(net neutrality)」と呼ばれる平等性がトランプ政権下でも維持されることに期待していた関係者は、今回の変更により、インターネットサービス提供企業が、一部のオンライン・トラフィックを抑制したり、企業が余分な費用を支払うことにより、自社コンテンツの高速送信が可能になったりすると警告している。
 
同規則の廃止は、政党方針に基づく投票により決定されたもので、共和党コミッショナー3人が廃止に投票したのに対し、民主党コミッショナー2人は同規則の維持に投票した。複数の高等教育団体は、同規則の廃止に反対していた他、4カ月間のパブコメ受付期間中には、同規則の維持をFCCに強く要請する意見が提出されていた。
 
全米大学実務者協会(National Association of College and University Business Officers:NACUBO)連邦政府担当ディレクター補佐のメーガン・シュナイダー(Megan Schneider)氏は、高等教育コミュニティ等の多数のセクタは、「ネットの中立性」廃止に対して多大な懸念を表明しているとコメントした。また、米国コミュニティカレッジ協会(American Association of Community Colleges:AACC)も、今回のFCCの決定に対する失意を発表している。
 
さらには、米国独立大学協会(National Association of Independent Colleges and Universities:NAICU)説明責任・規制担当ディレクターのジョディ・フェダー(Jody Feder)氏は、「ネットの中立性」廃止は、大学における研究・授業・コミュニケーションに影響を与え、米国私立大学の学生・研究・教員に悪影響を及ぼすとコメントした。
 
2017年12月14日
 
The Chronicle of Higher Education:Repeal of Net-Neutrality Rules Disappoints Higher-Ed Associations
 

地域 北米
アメリカ
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