【ニュース・アメリカ】ACE、非従来型社会人学生の成功を支援するための提案事項を提示

 
米国教育審議会(American Council on Education:ACE)は2017年12月6日、米国大学における従来型の大学生よりも年齢層が高い在籍者の現状に関する論文「従来型大学生よりも年齢層の高い在学生に関する声明書の再検討 ~社会人学生の成功のための高等教育と実生活との調整~(The Post-traditional Learners Manifesto Revisited: Aligning Postsecondary Education with Real Life for Adult Student Success)」を発表した。
 
これによると、学士課程に在籍する米国大学生2,300万人の約60%に相当する1,300万人超は、従来型の大学生よりも高い年齢層の非従来型学生であることが明らかにされた。これらの学生は25歳以上で、フルタイムで働き、財政的に自立した、もしくは軍務に関係する学生で、多様な教育ニーズを持ち、シングルマザー・移民・退役軍人・フルタイム就労者など、ライフステージも立場も様々である。
 
本論文は、大学で授業を履修したことはあるものの学位を取得していない25歳以上の米国人全員が準学士号を取得した場合、110万人が貧困から抜け出すことができ、税引き後の年収総額は1,116億ドル増加し、それに伴う税収は、1年間で432億ドル増になるとしている。
 
また、本論文共同執筆者でACE政策研究・戦略センター(Center for Policy Research and Strategy)副ディレクターのジョナサン・ガグリアーディ(Jonathan S. Gagliardi)氏は、現行の高等教育モデルは、職場や家庭において様々な責任を負う社会人学生の成功のために設定されていないことを指摘しており、同論文は、より総合的な学習体系を構築するためのツールを高等教育機関に提供するものであるとコメントしている。
 
同論文は、現状を改善するために、

  1. 統合高等教育データシステム(Integrated Postsecondary Education Data System)の継続的改善、
  2. 非従来型学生の学費負担を軽減するために、低所得層学生を対象とした連邦奨学金「ペルグラント(Pell Grant)」プログラムへの投資の継続、
  3. 学内データ・方針・システムを活用し、適切なモデル・サービスを提供、

の3点を提案している。
 
なお、本論文は、「THE POST-TRADITIONAL LEARNERS MANIFESTO REVISITED Aligning Postsecondary Education with Real Life for Adult Student Success」(PDF:583KB)からダウンロード可能。
 

2017年12月6日
 
ACE:New ACE Paper Recommends Ways to Ease Path to Degree for Post-traditional Learners
 

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