【ニュース・アメリカ】米国科学工学医学アカデミー、暗号化された通信の解読内容へのアクセスを政府機関に許可する枠組み作成を提案

 
米国科学医学工学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は2018年2月15日、暗号化された通信・データの非暗号化版へのアクセスを政府機関に許可するための要請を検証する際に使用する枠組みの作成を提案した報告書「暗号化された討論の解読 ~政策決定者のための枠組み~(Decrypting the Encryption Debate:A Framework for Decision Makers)」を発表した。
 
提案された枠組みは、法執行機関、コンピュータ科学、人権擁護、司法などを含む様々な領域のリーダーが主導する、18カ月間に亘る研究を経て作成されたものである。暗号化通信の解読は、カリフォルニア州サンバーナーディーノで発生した銃乱射事件において、死亡したテロリストのスマートフォンに残された暗号化された通信内容を、連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation:FBI)がアップル社(Apple)に強制的に解読させたことで注目を集めたが、FBIを含む法執行機関リーダーは、スマートフォンやメッセージアプリなどを使用した暗号利用が増加する中で、犯罪・国家安全保障捜査に必要な情報へのアクセスが制限されていると警告し、公安・国家安全保障ミッションを充足するためには、これらの情報へのアクセスを可能とする信頼性あるタイムリー且つ拡大可能な手段が必要と強調している。
 
一方、プライバシー保護及び人権擁護に対するリスクの原因となる他、サイバー脅威が拡大する状況下で、情報セキュリティを弱体化させることになるとして反対する声もある。
 
本報告書は、提案する枠組みの中で、政策決定者及び技術コミュニティに対し、暗号化された内容へのアクセスを政府機関に許可するための提案を検証・策定する際に検討すべき内容として、アプローチの有効性や安全保障への影響などを含む8項目の質問事項を提示している。
 
なお、同枠組みの目的は、提案された特定のアプローチが望ましいものであるか否かに関する政策決定者による判断を単に支援するだけでなく、有効性を最大化し、有害な副次的影響を最小限に抑える方法で実施される状況を確保することである。
 
本報告書は、「Decrypting the Encryption Debate: A Framework for Decision Makers」で閲覧可能。

 

2018年2月15日
 
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine:New Report Proposes Framework for Policymakers to Address Debate Over Encryption
 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
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