米国科学工学医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine、以下米国アカデミー)は2018年1月9日、気候の科学・インパクト・対応オプションなどの研究への取り組みにおいて、より効果的に一般及び政策決定者に情報を提供できるようにすることを目的としたイニシアティブ「気候コミュニケーションイニシアティブ(Climate Communications Initiative:CCI)」を立ち上げることを明らかにした。
米国アカデミーにおける気候変動研究への取り組みはこれまでにも頻繁に行われてきており、具体的に、気候科学における新領域の検証に加えて、
- ①国家安全保障、農業・食料安全保障、異常気象、海面上昇の影響を受ける沿岸コミュニティ、輸送インフラ、コミュニティの回復力、生態系、及び、人間の健康に対する気候のインパクト、
- ②エネルギー・自動車・炭素除去における新たなイノベーション、
- ③環境変化の社会・行動科学的側面、
などの研究を行っている。
CCIは、
- 気候変動に関する一般の疑問への対応、
- 米軍・企業・国民のリーダーに対する気候情報に関するコミュニケーションと普及を目的とした革新的アプローチの開発、
- 気候変動に関する証拠に基づく発見事項及び説明に対する簡単なアクセスの提供、
のために、米国アカデミー全体での取り組みの調整を目指すものである。また、本イニシアティブの戦略計画を策定し、計画実行の指針を提供する、CCI学際的諮問委員会に所属するメンバーも指名した。
同委員会委員長は、ペンシルバニア州立大学(Pennsylvania State University)気候・気象リスクのためのソリューションセンター(Center for Solutions to Weather and Climate Risk)初代ディレクターで元米海軍准将のデービッド・ティトレー(David Titley)教授が務める。
また、同委員会は、気候科学、気候インパクトと経済、潜在的対策オプション、科学コミュニケーション、ソーシャルメディアの関与、科学教育などといった、幅広い専門性を持つ産学官の多様なセクタの代表者及びステークホルダーで構成される。なお、同諮問委員会は、2018年3月に公開会議を開催する予定である。
2018年1月9日
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine:National Academies Announce Initiative on Climate Communication; Appoints Advisory Committee