【ニュース・アメリカ】米国最大の早期幼児教育プログラム「ヘッドスタート」と地元大学との協力、学生・プログラム・大学のいずれにとっても有利(10月30日)

 
女性政策研究所(Institute for Women’s Policy Research:IWPR)は10月30日、社会人大学生の卒業率を向上させる手段として、米国最大の早期幼児教育プログラム「ヘッドスタート(Head Start)」と地元大学との提携を詳細に検証した報告書「家族の経済的成功に向けた戦略としてのヘッドスタートと大学のパートナーシップ ~利点、課題、有望なプログラムに関する研究~(Head Start-College Partnerships as a Strategy for Promoting Family Economic Success: A Study of Benefits, Challenges, and Promising Programs)」を発表した。

 
学士課程在籍者の5人に1人が子どもを持つ学生であり、手頃な価格で信頼性ある保育サービスへのアクセスを提供することで、子どもを持つ学生による学位取得率が向上する可能性があるとの研究結果がありながら、現状は、大学キャンパスでの保育サービスへのアクセスは縮小していることから、本報告書では、その解決案として、「ヘッドスタート」プログラムと地元大学との提携の実態を検証している。

 
その結果、全米で「ヘッドスタート」プログラムと高等教育機関が提携している例が32州で82件確認され、そのうち62件はを 子どもを持つ学生が利用しており、24件はこれらの学生を優先的に登録していることが判明した。

 
さらに、「ヘッドスタート」と大学との提携例は、ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州の3州に集中していることや、「ヘッドスタート」プログラム数は全国で1,700件ある一方で、大学と提携している例はごく僅かであることなどが明らかになった。「ヘッドスタート」と大学との提携による利点は以下の通りで、同報告書は、「ヘッドスタート」プログラムに力を入れるコミュニティに対し、地元大学と提携することを提案している他、連邦・州政策決定者に対しても、このような提携を奨励するよう促している。

  • 子どもを持つ学生で「ヘッドスタート」プログラムへの参加条件を満たす者は、質の高い早期幼児教育へのアクセスを通して、子どもが恩恵を受けながら、自身も学位取得を目指すことが可能。
  • 「ヘッドスタート」は、子どもを持つ学生にサービスを提供することにより、経済的安定を目指す家族を支援。
  • 「ヘッドスタート」プログラム提供により、減少しつつある大学構内での保育サービス提供が可能。
  • 子どもを持つ学生の在籍・卒業率向上は、大学にとっても、学生募集や早期幼児教育にかかわる人材育成などで有利。

なお、本報告書は、こちらからダウンロード可能。
 

Institute for Women’s Policy Research: College Partnerships with Head Start Programs Can Support College Students with Children

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
社会との交流、産学官連携 地域連携
統計、データ 統計・データ