【ニュース・アメリカ】米国大学CIO、IT投資から得られる利益は中程度で、大学キャンパスにおけるITサービスに対する満足度は低い

 
米国高等教育における情報技術(IT)の役割に関して1990年から継続される最大規模の研究プロジェクト「キャンパス・コンピューティング・プロジェクト(Campus Computing Project)」は、米国の公立・私立大学の最高情報責任者を対象として実施した「米国コンピューティング・Eラーニング・情報技術調査(National Survey of Computing, eLearning and Information Technology)」の結果を発表した。米国大学199校から得られた回答を分析した結果、多くの大学においてIT投資から得られる利益は中程度で、全般的には大学キャンパスにおけるITサービスに対する満足度は低いことが明らかにされた。
 
回答者の半数以上が、IT投資が有効と回答した分野は「大学構内における授業及び指導技術」で、「図書館におけるリソース・サービス」及び「学生募集」がそれぞれ約40%でこれに続いた。
 
反対に、有効性が最も低いとの評価を受けた分野は「データ分析・管理分析技術」で、有効と回答したCIOは20%未満であった。それ以外で有効性が低い(有効との回答が40%未満)と評価された分野には、「教員による研究を支援する技術」「卒業生の関与」「学業支援サービス」「オンライン講座・プログラム」などが含まれる。
 
また、大学キャンパスにおける主要なITリソース及びサービスに関する満足度は全般的に低く、Wi-Fiネットワーク及び利用者支援サービスに関しては回答者の50%以上が満足しているものの、人事システム、財務システム、及び、学生情報システムに関しては、いずれも満足と回答したCIOは全体の30%未満であった。
 
それ以外の主な結果は以下の通り。

  • 指導・学習の強化における技術の役割を強く支援すると回答したCIOは全体の76%で、従来の印刷された教材と比較して、デジタル教材はより優れた学習体験を提供すると回答したCIOは全体の90%。
  • 一般教養講座でデジタル教材を活用している講座は全体の14%のみで、適応学習技術を活用している講座は7%のみ。また、オープン教材(open educational resource)を使用している講座は全体の11%であるが、回答者の80%は5年以内にOERは重要な教材になると回答。
  • 2016-17学年度の予算が前学年度よりも減額されたと回答したCIOは全体の約30%で、この傾向は2017-18学年度も継続。

 

2017年11月3日
 
Inside Higher ED:IT Effectiveness Found Lacking

 

地域 北米
アメリカ
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